宮城県暴力団排除条例

暴力団排除条例
(目的)
第一条 この条例は、暴力団排除に関して基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らか
にするとともに、暴力団排除のための県の基本的な施策、事業者の講ずべき措置等について定
め、もって県民生活の安全と平穏を確保するとともに、県における経済活動の健全な発展に寄
与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところ
による。
一 暴力団排除 県内において、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年
法律第七十七号。以下「法」という。)第三十二条第三項に規定する暴力排除活動を促進し、
及び公共工事等における措置、青少年に対する指導等、暴力団員等への金品等の供与の禁止
等の措置等を講ずることにより、暴力団により県民生活及び事業活動に生じ、又は生ずるお
それがある不当な影響を排除することをいう。
二 暴力団 法第二条第二号に規定する暴力団をいう。
三 暴力団員 法第二条第六号に規定する暴力団員をいう。
四 暴力団員等 次のいずれかに該当するものをいう。
イ 暴力団員
ロ 暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者
ハ 法人その他の団体であって、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれ
らに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、当
該団体に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支
配力を有するものと認められる者を含む。)のうちにイ又はロのいずれかに該当する者が
あるもの
五 暴力団排除活動 暴力団排除のための活動をいう。
六 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点となっている施設又は施設の区画された部分をいう。
七 事業者 県内において事業を行う法人その他の団体及び個人をいう。
八 事業者団体 事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業
者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。
イ 二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である一般社団法人その他の社団
ロ 二以上の事業者が理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している一般
財団法人その他の財団
ハ 二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体
九 県暴力追放運動推進センター等 法第三十二条の三第一項の規定により公安委員会から宮
城県暴力追放運動推進センターとして指定を受けた者その他の暴力団員による不当な行為の
防止を目的とする団体をいう。
十 建設工事 建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第一項に規定する建設工事をいう。
十一 公共工事等 県が発注する建設工事その他の県の事務又は事業をいう。
十二 金品等の供与 金品その他の財産上の利益の供与をいう。
(平二四条例六〇・一部改正)
(基本理念)
第三条 暴力団排除は、社会全体として、暴力団が県民生活又は事業活動に不当な影響を与える
存在であることを認識した上で、暴力団を恐れないこと、暴力団に対して資金を提供しないこ
と及び暴力団を利用しないことを基本として、県、市町村、県民及び事業者により、それぞれ
の連携及び協力の下に推進されなければならない。
(県の責務)
第四条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、県民及び事業者の協
力を得るとともに、県暴力追放運動推進センター等との連携を図りながら、暴力団排除に関す
る施策を総合的に推進するものとする。
(県民の責務)
第五条 県民は、基本理念にのっとり、暴力団員等による不当な行為があったときは、県又は県
暴力追放運動推進センター等に相談する等により、暴力団排除に努めるものとする。
2 県民は、暴力団排除活動に自主的に、かつ、相互に連携協力を図りながら取り組むとともに、
県が実施する暴力団排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 県民は、暴力団排除に資すると認められる情報を得たときは、県に対し、当該情報を提供す
るよう努めるものとする。
(事業者の責務等)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、その行う事業に関し、暴力団排除に取り組まなければ
ならない。
2 事業者は、その行う事業に関し、暴力団の威力を利用してはならない。
3 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等による不当な行為があったときは、県又は県暴
力追放運動推進センター等に相談する等により、暴力団排除に努めるものとする。
4 事業者は、その行う事業に関し、暴力団を利することとならないよう努めるとともに、県が
実施する暴力団排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
5 事業者は、暴力団排除に資すると認められる情報を得たときは、県に対し、当該情報を提供
するよう努めるものとする。
第七条 事業者団体は、次に掲げる自主的な活動に努めるものとする。
一 当該事業者団体の構成員である事業者(以下「構成事業者」という。)がこの条例の規定
を遵守するための当該構成事業者に対する情報の提供、助言、指導その他の必要な支援
二 暴力団が構成事業者の事業活動に支配的な影響力を有し、又は有するおそれがある場合に
おいて、当該構成事業者の求めに応じ、当該支配的な影響力を排除するための当該構成事業
者に対する情報の提供、助言、指導その他の必要な支援
三 前二号に掲げるもののほか、暴力団排除を促進するために必要な活動
(公共工事等における措置)
第八条 県は、公共工事等により暴力団を利することとならないよう、暴力団員等を県が実施す
る入札に参加させないことその他の公共工事等からの暴力団排除のために必要な措置を講ずる
ものとする。
2 県は、公共工事等に係る契約において、当該契約の相手方が暴力団員等を下請契約(当該契
約に係る業務の全部若しくは一部の受注又は当該業務に関連する資材その他の物品の納入若し
くは役務の提供の受入れに係る契約をいう。以下同じ。)の相手方としないことその他の暴力
団排除のために必要な措置を講ずる旨を定めるものとする。
3 県は、公共工事等に係る契約において、当該契約(下請契約を含む。以下この項において同
じ。)の相手方が当該契約に係る業務の遂行に当たって暴力団員等による不当な行為を受けた
ときは、県に報告するとともに、所轄警察署に通報することその他の暴力団排除のために必要
な協力を行う旨を定めるものとする。
(暴力団排除活動に対する支援)
第九条 県は、県民及び事業者が暴力団排除活動に自主的に、かつ、相互に連携協力を図りなが
ら取り組むことができるよう、県民及び事業者に対し、情報の提供、助言、指導その他の必要
な支援を行うものとする。
(保護その他の措置)
第十条 県は、暴力団排除活動の実施に取り組んだこと等により暴力団員等から危害を加えられ
るおそれがあると認められる者に対し、保護その他の必要な措置を講ずるものとする。
(訴訟の援助)
第十一条 県は、暴力団事務所の使用の差止めの請求、暴力団員等がした不法行為に基づく損害
賠償の請求その他の暴力団員等に対する請求に係る訴訟であって、暴力団排除に資すると認め
られるものを提起し、又は提起しようとする者に対し、当該訴訟の遂行に必要な情報収集のた
めの物品の貸付けを行うとともに、当該訴訟に関し、情報の提供その他の必要な援助を行うこ
とができる。
(啓発活動)
第十二条 県は、県民及び事業者が暴力団排除の重要性について理解を深めることができるよう、
暴力団の活動実態等に関する広報活動、暴力団排除の気運を醸成するための集会の開催その他
の啓発活動を行うものとする。
(国及び他の都道府県との連携)
第十三条 県は、暴力団排除に関する施策の推進に当たっては、国及び他の都道府県との連携を
図るものとする。
(市町村への協力)
第十四条 県は、市町村において、暴力団排除のための施策が講じられるよう、市町村に対し、
情報の提供、技術的な助言その他の必要な協力を行うものとする。
(青少年に対する指導等)
第十五条 県民及び事業者は、青少年が暴力団排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び
暴力団員等による犯罪の被害を受けないよう、地域、職域等において、青少年に対し、指導、
助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(金品等の供与の禁止等)
第十六条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、次
に掲げる行為をしてはならない。
一 暴力団の威力を利用する目的で、金品等の供与をすること。
二 暴力団の威力を利用したことに関し、金品等の供与をすること。
三 暴力団又は暴力団員等の活動又は運営に協力する目的で、相当の対償なくして金品等の供
与をすること。
2 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等と密接な関係を有することとなるおそれがある
ことを知りながら、暴力団員等から相当の対償なくして金品等の供与を受けてはならない。
(契約締結時の措置等)
第十七条 事業者は、その行う事業に関して契約を締結する場合(契約を更新しようとする場合
を含む。以下この条において同じ。)には、当該契約において、当該契約の相手方が暴力団員
等であることが判明したときは、当該事業者が催告をすることなく当該契約を解除することが
できる旨を定めるよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に関して契約を締結する場合において、当該契約が暴力団を利する
こととなるおそれがあると認めるときは、当該契約の相手方、当該契約の締結の媒介をする者
その他の関係者が暴力団員等でないことを確認するよう努めるものとする。
3 事業者は、その行う事業に関して契約を締結する場合において、当該契約が暴力団を利する
こととなるおそれがあると認めるときは、当該契約の相手方に対して、その者が暴力団員等で
ないことを誓約する書面を提出させることその他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 事業者は、第一項に規定する旨を定めた契約を締結した場合において、当該契約が暴力団を
利することとなるおそれがあると認めるものであって、かつ、当該契約の相手方が暴力団員等
であることが判明したときは、当該契約を解除するよう努めるものとする。
5 第一項から第三項までの規定は、事業者が法令上の義務その他の正当な理由に基づきその行
う事業に関して契約を締結する場合には、適用しない。
(不動産の譲渡等をしようとする者の措置等)
第十八条 県内に所在する不動産の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。)(以下「譲渡等」
という。)をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約を締結する場合(契約を更新しようと
する場合を含む。)には、当該契約において、当該不動産が暴力団事務所の用に供されている
ことが判明したときは、当該譲渡等をした者が催告をすることなく当該契約を解除することが
できる旨を定めるよう努めるものとする。
2 譲渡等をしようとする者は、前項に規定する旨を定めた契約を締結した場合において、当該
契約に係る不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、当該契約を解除
するよう努めるものとする。
3 建設工事を請け負う者は、当該請負に係る契約を締結する場合には、当該契約において、当
該契約に係る物件が暴力団事務所の用に供されることとなるおそれがあると認めるときは、当
該建設工事を請け負った者が催告をすることなく当該契約を解除することができる旨を定める
よう努めるものとする。
4 建設工事を請け負う者は、前項に規定する旨を定めた契約を締結した場合において、当該契
約に係る物件が暴力団事務所の用に供されることとなるおそれがあると認めるときは、当該契
約を解除するよう努めるものとする。
(暴力団員等が金品等の供与を受けることの禁止等)
第十九条 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が第十六条第一項の規定に違反す
ることとなる金品等の供与を受け、又は事業者に当該事業者が同項の規定に違反することとな
る金品等の供与をさせてはならない。
2 暴力団員等は、情を知って、事業者に対し、当該事業者が第十六条第二項の規定に違反する
こととなる金品等の供与をしてはならない。
(報告又は資料の提出)
第二十条 公安委員会は、事業者、第十八条第一項若しくは第三項に規定する者又は暴力団員等
がそれぞれ第十六条、第十八条又は前条の規定を遵守していないおそれがあると認められると
きは、暴力団排除のために必要な限度において、これらの者その他の関係者に対し、報告又は
資料の提出を求めることができる。
(勧告)
第二十一条 公安委員会は、事業者、第十八条第一項若しくは第三項に規定する者又は暴力団員
等がそれぞれ第十六条、第十八条又は第十九条の規定を遵守していないため、暴力団排除に支
障を生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、これらの者に対し、必要な措置を講ずべ
きことを勧告することができる。
(公表)
第二十二条 公安委員会は、第二十条の規定により報告若しくは資料の提出を求められた者が正
当な理由がなく当該報告若しくは資料の提出を拒んだとき、又は前条の勧告を受けた者が正当
な理由がなく当該勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
2 公安委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、同項に規定する
者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(委任)
第二十三条 この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成二十三年四月一日から施行する。
(経過措置)
2 第十七条(第四項を除く。)の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以
後に締結される事業者の行う事業に関する契約(更新しようとするものを含む。)について適
用する。
3 第十八条第一項の規定は、施行日以後に締結される同項に規定する譲渡等に係る契約(更新
しようとするものを含む。)について適用する。
4 第十八条第三項の規定は、施行日以後に締結される同項に規定する請負に係る契約について
適用する。
附 則(平成二四年条例第六〇号)
この条例は、公布の日又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する
法律(平成二十四年法律第五十三号)の施行の日のいずれか遅い日から施行する。
(施行の日=平成二四年一〇月三〇日)