「パパ活」を甘く見る女子中高生に迫る超危険/性被害や殺人の可能性を忘れてはいけない
2018.11.18 東洋経済オンライン
「#パパ活初心者」「#パパ活大阪」「#パパ活JC」「#パパ活」--。
ツイッターなどのSNSで「パパ活」と検索すると、このようなハッシュタグをつけた投稿が多数見つかる。パパ活とは、パパと呼ばれる男性と食事やデートなどを行い、金銭的授与を受けることを指す。実態は必ずしもそうではないが、基本的に“性的関係を前提としない”とされている。
「#パパ活JC」の「JC」とは女子中学生を意味しており、同様に「#パパ活JK」の「JK」は女子高生を意味する。そんな若い世代がのめり込むパパ活だが、最近は脅迫や性被害につながるなど、リスクも明らかになってきた。
「パパ活」の温床はツイッターやインスタ
「#パパ活募集」「#パパ活初心者」「#p活(パパ活の略語)」などのハッシュタグがついたツイートには、多くの男性から「DM開放してください」「DMよろしくお願いします」などのリプライが寄せられている。
パパ活募集の投稿の特徴は、詳細な情報を載せるためと、それを取り締まる警察からの検索を予防するためか、画像を使って自らのスペックや相手に求める条件などを載せていることだ。
自らの年齢や学年、身長、会える時間、場所、1時間あたりの料金などを載せるほか、「体目的、お触り、録音、録画、密室空間(車含め)、暴力行為、ドタキャン、個人情報」などの禁止事項を載せている投稿が多い。
ある女子中学生と思しきアカウントは、前述の禁止事項に続いて「上記のことが起き不安に思った場合は返金無しに打ち切らせて頂きます」と注意書きも付けている。「過去ツイとかも確認します」とあり、パパになりたい男性の過去の投稿をもとに、信頼できるかどうか確認しているようだ。
また、女子高生と思しき別のアカウントはツイッターのパパ活募集ツイートに、「本気で会う気がある方がいましたら、インスタグラムのアカウントを教えるのでそこで顔などを確認していただけたらと思います」としていた。このように複数のSNSを活用してパパを募るケースもある。
そもそも援助交際自体も、売春を手軽な印象の言葉に言い換えたものだが、パパ活となるとさらにライトな印象になる。しかも前提として性的行為はなしとなれば、お手軽なバイト気分で投稿してしまう女子中高生が出てきてしまうのは当然と言えるかもしれない。
そして、インスタグラムでも「#パパ活募集」は行われている。「ツイッター凍結されちゃったんで、パパ活垢作りました」というただし書き付きで、ツイッターと同様条件や禁止事項などを画像で投稿している点は同じである。ツイッターやインスタグラムは匿名で複数のアカウントが作成できる。そのため、パパ活目的で使いやすいというわけだ。
しかし援助交際と違って、パパ活なら安全というわけではない。
日本郵便契約社員である20代男性が2018年2月に、東京豊島区のホテルで当時高校2年の女生徒(17歳)に現金2万円を渡し、わいせつな行為をしたとして逮捕された。男はツイッターでパパ活を募集し、連絡してきた女生徒と会ったという。
警察も「サイバー補導」で少女たちに注意喚起
性的行為がないことを前提としていたはずが、実際には児童買春や性暴力につながるケースが目立ってきているのだ。
そういった事件が続出する背景から、愛知県警少年課が2018年10月より、ツイッター上で児童買春につながりそうな書き込みに対して注意を促している。児童買春を引き起こすようなツイートには次のような文面が送られてくる。
「こちらは愛知県警少年課です。このツイートは児童買春などの被害につながるおそれがあります。また、見ず知らずの相手と会うことは、誘拐や殺人などの重大な被害に巻き込まれるおそれのある大変危険な行為です。」
同時に愛知県警少年課は、加害者となりうる成人のツイートに対しても、書き込みの削除を促している。
また大阪府警も今年8月から、パパ活を募集している少女たちの監視を強化しており、その待ち合わせ場所に訪れた少女らを補導する「サイバー補導」を行っている。
メディアなどでパパ活が騒がれる一方で、警察もその対策を強化しているのだ。
福岡県警筑紫野署も今年、県内の男子高生(当時17歳)を補導している。2018年9月、男子高生はツイッターに「福岡 17さい ままかつしたい#ママ活」と投稿。書き込みを見つけた同署員が男子学生に連絡すると、「2時間カフェでまったり会うので7000円」と返答。彼が待ち合わせ場所に現れたところを警察は補導した。
「パパ活」「ママ活」のリスク
このように年上の女性と会って金銭的援助を受ける「ママ活」も、SNS上にあふれている。また、ママ活をしようとする女性の投稿も少なくない。
筆者が過去に取材した、ある女子大生は親しい友人数名がパパ活をしていると言っていた。「父親から祖父くらいの年齢の相手と食事をしたりLINEをするだけで、月に数万円手にしているみたい」という。しかし、彼女自身は「パパ活に興味はない」と話す。「相手がストーカー化して大学に来てしまったという怖い話を聞いて、絶対ありえないと思っている」からだ。
「体目的、お触り、録音、録画、密室空間(車含め)、暴力行為、ドタキャン、個人情報」などが禁止事項として挙げられているのは、そのような危険と隣り合わせということ。2人きりで異性と会うのだから性的被害は受けやすい状況であるし、盗撮や録音されたら脅迫やリベンジポルノ被害につながる可能性もある。
すでに述べたとおり、パパ活やママ活はサイバー補導の対象だ。同時に、身の上にさまざまな重大な危険が降りかかる可能性が高い。もし周囲にパパ活やママ活に手を出している子どもいたら、その危うさをちゃんと伝えてあげてほしい。
リベンジポルノ防止法違反などの疑い
2018.11.09 朝刊
【愛知県】豊田署などは8日、私事性的画像記録の提供等被害防止法(リベンジポルノ防止法)違反やストーカー規制法違反(ストーカー行為)などの疑いで、日進市浅田町上ノ山、会社員h容疑者(53)を逮捕した。
逮捕容疑では、10月20~29日の3回にわたって、元交際相手の女性(57)の顔や裸の画像と名前、住所などを印刷した紙計4枚を豊田市内の路上に置いたとされる。
署によると、「印刷した紙を道路に置いたことは間違いないが、ストーカー行為はしていない」と容疑を一部否認している。紙を拾った通行人が署に届け出た。
リベンジポルノ 元KARAハラ(27)元祖K-POPアイドルの光と影
2018.10.26 よみうりテレビ
リベンジポルノ騒動の渦中にある元KARAのク・ハラさん。事の発端は交際していたカリスマ美容師チェ・ジョンボム氏との別れ話がこじれ、チェ氏がハラさんから暴行を受けたと通報したこと。警察に出頭したハラさんは双方が手を出したケンカで、一方的な暴行を否定した。するとその後、ハラさんがチェ氏から性的動画を送られ「芸能人生を終わらせてやる」と脅迫されたと主張した。窪田さんは「なぜ元恋人はリベンジポルノをしないといけなかったのか」とコメント。韓国芸能界に詳しい慎武宏さんに話を聞いた。慎さんはリベンジポルノ疑惑の前から、ハラさんの周辺ではおかしな予兆があったと伝えた。慎さんは「9月くいらいに自殺説がネット上で出たんですよね韓国で。本来そういうものが出ると事務所側がすぐに「事実無根です」と発表するんですけど、そういうこともなかったですし。だから何かあるのかなという予兆みたいなものは感じてましたけど」と語った。慎さんは「別れ話のもつれからハラさんが彼氏を暴行した。そういうイメージも働いてハラさんに対する失望とバッシングと、「やっぱりな」みたいな意見が多かった」と説明。しかしその後ハラさんがリベンジポルノで脅されている報道が出ると、多くの批判が同情する声に変わったという。慎さんはハラさんが所属していたKARAは日本のみならず、韓国でも人気を誇っていたと言い、メンバーの中でもハラさんは20代のファッションアイコンだったという。しかし2014年にハラさんはKARAを脱退、しかしその後再び脚光を浴びる事は無かった。窪田さんは「ハラさんはいわばリベンジポルノ疑惑が出たことで世論の支持を一手に掴んだんです。だからハラさんの人気低下を払拭したい勢力がリベンジポルノをマスコミにリークしたというのは考えすぎでしょうか」と話した。慎さんは韓国マスコミで密やかに囁かれている衝撃の事実を激白。慎さんは「今回ハラさんのリベンジポルノの第一報を出したところがディスパッチ。ここは今韓国で最も勢いがあって、最も刺激的な非常にインパクトがあるメディア」と話し、ディスパッチの独自スクープということで当初からメディアプレーを疑っていたと語った。さらにメディアプレーを裏付ける根拠として、音声データや病院の診断書など内部の人しか持ちえない情報をディスパッチが第一報で流したことをあげた。検察はこの情報から元恋人チェ氏を、暴行・脅迫で拘束令状を請求した。しかし裁判所はこれを棄却した。
女性約300人分盗撮し販売か
2018.10.25 NHK総合
東京都豊島区の飲食店トイレで撮影した20代女性の映像をネットに投稿し不特定多数の人が閲覧できる状態にした疑いで、墨田区の会社員の男が逮捕された。先月女性から「ネット上に自分の姿が投稿されている」と相談があり、警視庁が捜査を進めていた。容疑者は容疑を認め、「金を得る目的でやった」などと供述した。警視庁は男が約300人分の映像をネット上で販売し2700万円余を得ていたとみて調べている。
SNSから事件後絶たず 県内若者、被害者にも、加害者にも 興味本位で画像投稿
2018.10.22 佐賀新聞
ツイッターなど会員制交流サイト(SNS)の利用に絡み、若い世代が事件の加害者や被害者になるケースが後を絶たない。佐賀県内でも、ツイッターに露出した下半身の画像を投稿したとして中高生らが摘発されたり、SNSを通じた裸の画像のやりとりなどが明るみに出たりしている。誰でも簡単に情報発信できるSNSが、使い方次第で犯罪につながるリスクをはらむことをどう啓発していくかが課題となっている。
ツイッターに下半身の画像を投稿したとして、佐賀県警は今年8~9月、県内などの中高生ら5人を書類送検した。5人は「自分の下半身を撮影して投稿した」と話し、出会い目的の動機があったとされる。
9月上旬には、SNSで女子高校生を脅したとする強要未遂容疑で、佐賀市の男子高校生を逮捕。やりとりの中で女子生徒から裸の画像を受け取り、脅迫の材料としたという。加害と被害は隣り合わせで、ツイッターの件で摘発された県内の男子高校生(18)は昨年11月、SNSで知り合った会社員の男(39)とみだらな行為をした疑いも浮上し、男の逮捕につながった。
県警サイバー犯罪対策課の藤井信吾サイバーセキュリティ対策官は「犯罪行為という自覚にとぼしい」と指摘。「放置しておけば、他人にも安易に裸の画像を強要するなどの犯罪にエスカレートしかねない。リベンジポルノや殺人といった命や人権が侵害される重大事件につながる恐れもある」とする。
県警人身安全・少年課によると、県内でSNSを介して18歳未満の子どもが裸の画像を要求されたり、相手と会って性被害に遭ったりした事件の摘発は、昨年までの5年間で計43件。4年前からは年間8~13件で推移している。5年間で摘発した37人のうち、7人が20歳未満の少年だった。
県警はツイッター投稿事件の一斉摘発に伴い、高校生以下のSNS利用に関するモラル向上の指導を強化するよう県教育委員会に申し入れた。担当者は「児童生徒が被害者にも加害者にもならないために、引き続き保護者、PTAと連携して指導したい」とする。一方、教育現場からは、子どもが実名以外で登録したアカウントを使っているケースがあり、現状把握の難しさを指摘する声もある。
情報モラル教育に取り組むNPO法人「ITサポートさが」(佐賀市)の陣内誠理事長は「興味本位から犯した過ちでもインターネットでは証拠が残り、拡散すると消せず、『若気の至り』では済まない。後で苦しむ恐れがあることを子どもに理解させるべき」と話し、保護者や学校現場を含め社会全体で啓発に取り組む必要性を指摘した。
盗撮:スマホ普及で被害深刻化 「盗撮罪を」高まる声
2018.11.20 大阪朝刊
スマートフォンの普及に伴い、盗撮被害が深刻化している。盗撮行為を取り締まる全国一律の法律はなく、性暴力の現場では加害者による撮影が横行している。捜査で使われた盗撮データでも強制的に没収できないのが実態で、インターネットにアップされると瞬時に拡散する。弁護士有志から盗撮罪の創設を訴える声が出始めた。(29面参照)【椋田佳代、菅野蘭】
◇映像拡散、消えぬ恐怖
「今もどこかに盗撮のデータが残っているのでは、いつか表に出てしまうのでは、といつも不安で、一生脅迫材料を握られているような思いです」
昨年7月に男2人から性的暴行を受け、その様子を動画撮影された東京都内の20代女性は、男らが逮捕・起訴され、実刑判決を受けた後も恐怖に苦しんでいる。盗撮データの抹消、没収に強制力がないからだ。
男らは、有料で女性の口説き方を教える「リアルナンパアカデミー」と呼ばれる「塾」の塾生だった。女性や弁護士、判決によると、女性は街中で声をかけてきた男にしつこく誘われ、仕方なく複数同士での飲み会に参加。飲み会後、塾が管理する都内のマンションの一室に連れて行かれてウオッカの一気飲みを強要され、意識がなくなったところで暴行された。
塾は、合意の上の証拠と称して暴行の様子を動画で撮るようマニュアルで指南しており、男らも1人が暴行している間に、もう1人がスマホで撮影。塾のメンバー数十人が無料通信アプリ「LINE(ライン)」で動画データを共有していた。
女性がこうした事実を知ったのは、今年5月、男2人が準強制性交等容疑で警視庁新宿署に逮捕された後だった。暴行の様子が盗撮されていた上に、データが知らぬ間に多人数に共有され、どこまで広がっているのかも分からない状況にがくぜんとした。
しかも2人の逮捕後、リアルナンパアカデミーの「塾長」の男が、約8000人のフォロワーがいる自身のツイッターで「合意の証拠がある」「冤罪(えんざい)だ」といった趣旨の主張を展開。「名前を公表してもいいじゃないですか」などと身勝手な書き込みをするフォロワーも出てきた。
塾や塾長の存在を知った女性はほとんど家から出られなくなり、いつか動画や名前が公開されるのではないかと、ネットの書き込みを毎日何時間もチェックするようになった。新宿署からは、動画データを共有していた塾生たちがデータを「消した」と言っていると説明されたが、本当にすべてのデータがなくなったという保証はない。不安と絶望から気付いたらテレビのコードで首を絞め、苦しくて途中で我に返った。
女性は被害者参加制度を利用し、2人の公判で自らが受けた精神的苦痛を訴え、厳しい処罰を求めた。2人は9月から10月にかけて、準強制性交等罪などでそれぞれ懲役5年6月と懲役7年の実刑判決を受け、塾長も別の準強制性交等容疑で逮捕・起訴された。少しだけほっとしているが、やはり「いつか動画や自分の名前が世の中に出てしまうのでは」という不安はぬぐえない。「法律で早くすべてのデータを取り上げられるようにしてほしい」と唇をふるわせながら小さな声で話した。
弁護士有志でつくる犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長で、性犯罪被害に詳しい上谷さくら弁護士は「レイプや強制わいせつの現場で犯行状況を加害者が撮影しているのが犯行とセットになっていると言っても過言ではない」と語る。上谷弁護士によると、撮影したデータを「ばらされたくなかったら言うことを聞け」などと脅しの道具に使い、口止めや関係強要をしている。こうした事案はスマホが普及した5年ほど前から目立ち始めた。
◇データ回収に壁 現行法限界も
盗撮を取り締まる都道府県の迷惑防止条例は、規制対象となる場所を拡大する改正が進むが地域差がある。東京都は7月施行の条例改正で学校や会社のトイレ・更衣室、カラオケの個室も規制対象に加えた。だが青森、埼玉、広島、山口の各県などは公園や道路など不特定多数が出入りする「公共の場・乗り物」に限られ、学校や会社のトイレ・更衣室は原則取り締まれない。軽犯罪法は刑罰が軽く、30日未満の拘留か1万円未満の科料程度で、データが没収できない。オフィスの個室など私的空間での盗撮は基本的に「野放し」だ。
さらに盗撮データは売買対象になり、被害の拡大を招く。東京都豊島区の飲食店のトイレで盗撮した動画を、インターネットで販売したとして10月にリベンジポルノ防止法違反容疑で警視庁に逮捕された男は、300人以上の女性を盗撮し、動画で約2700万円を売り上げていた。
海外には盗撮罪を設けている国がある。南山大の末道康之教授(刑法)によると、ベルギーは2016年に盗撮罪を新設。フランスは1970年から私生活に対する侵害行為として同意がない録画を禁じ、16年の刑法改正で性的な画像の公表を処罰対象に加えた。
盗撮ビデオは誰のものか。元東京地検検事の落合洋司弁護士によると、強制性交等罪や強制わいせつ罪などを立証する証拠として扱われた盗撮データは、捜査が終わって証拠物を返す際に被告の同意を得て削除する運用がされている。落合弁護士は「強制力のない対応だ」と没収できない問題点を指摘する。
盗撮ビデオの没収の可否が注目された裁判がある。宮崎市のアロママッサージ店の経営者の男が女性客らに性的暴行を加えたとして強姦(ごうかん)罪などに問われた事件の裁判だ。男は性犯罪行為を盗撮していた。駅や路上など公的な場なら自治体の迷惑防止条例に、相手が18歳未満なら児童ポルノ禁止法に違反するが、撮影した場所が店内で被害女性が成人だったため、隠し撮り行為自体は罪に問われていなかった。
地裁は男が公判で「トラブルになった場合に備えて撮影した」と供述したことなどを理由に15年12月にビデオ原本を没収し、2審の福岡高裁宮崎支部も支持。最高裁も今年6月、「(盗撮を)被害者に知らせて処罰を求めることを断念させ、刑事責任を免れようとしたと認められ、ビデオは犯罪のために使われたと言える」と没収可能との判断を示した。
一方、最高裁は加害者が性的に楽しむ目的で撮影した場合の対応には言及しなかった。犯罪被害者支援弁護士フォーラムは、性的に楽しむ場合は盗撮ビデオを没収できない可能性があると懸念する。
被害回復の限界を示した最高裁判断を受け、同フォーラムは今夏、同意のない性的な撮影を取り締まる全国一律の盗撮罪の創設を目指し、シンポジウムの開催など活動を始めた。しかし、性的意図を持って撮影した立証は難しく、何をもって盗撮とするか具体化には時間を要する。
盗撮:法の不備あらわ 被害者、流出おびえ
2018.11.20
スマートフォンの普及に伴い、盗撮被害が深刻化している。盗撮行為を取り締まる全国一律の法律はなく、性暴力の現場では加害者による撮影が横行している。捜査で使われた盗撮データでも強制的に没収できないのが実態で、インターネットにアップされると瞬時に拡散する。弁護士有志から盗撮罪の創設を訴える声が出始めた。【椋田佳代、菅野蘭】
「今もどこかに盗撮のデータが残っているのでは、いつか表に出てしまうのでは、といつも不安で、一生脅迫材料を握られているような思いです」
昨年7月に男2人から性的暴行を受け、その様子を動画撮影された東京都内の20代女性は、男らが逮捕・起訴され、実刑判決を受けた後も恐怖に苦しんでいる。盗撮データの抹消、没収に強制力がないからだ。
男らは、有料で女性の口説き方を教える「リアルナンパアカデミー」と呼ばれる「塾」の塾生だった。女性や弁護士、判決によると、女性は街中で声をかけてきた男にしつこく誘われ、仕方なく複数同士での飲み会に参加。飲み会後、塾が管理する都内のマンションの一室に連れて行かれてウオッカの一気飲みを強要され、意識がなくなったところで暴行された。
塾は、合意の上の証拠と称して暴行の様子を動画で撮るようマニュアルで指南しており、男らも1人が暴行している間に、もう1人がスマホで撮影。塾のメンバー数十人が無料通信アプリ「LINE(ライン)」で動画データを共有していた。
女性がこうした事実を知ったのは、今年5月、男2人が準強制性交等容疑で警視庁新宿署に逮捕された後だった。暴行の様子が盗撮されていた上に、データが知らぬ間に多人数に共有され、どこまで広がっているのかも分からない状況にがくぜんとした。
しかも2人の逮捕後、リアルナンパアカデミーの「塾長」の男が、約8000人のフォロワーがいる自身のツイッターで「合意の証拠がある」「冤罪(えんざい)だ」といった趣旨の主張を展開。「名前を公表してもいいじゃないですか」などと身勝手な書き込みをするフォロワーも出てきた。
塾や塾長の存在を知った女性はほとんど家から出られなくなり、いつか動画や名前が公開されるのではないかと、ネットの書き込みを毎日何時間もチェックするようになった。新宿署からは、動画データを共有していた塾生たちがデータを「消した」と言っていると説明されたが、本当にすべてのデータがなくなったという保証はない。不安と絶望から気付いたらテレビのコードで首を絞め、苦しくて途中で我に返った。
女性は被害者参加制度を利用し2人の公判で自らが受けた精神的苦痛を訴え、厳しい処罰を求めた。2人は9月から10月にかけて、準強制性交等罪などでそれぞれ懲役5年6月と懲役7年の実刑判決を受け、塾長も別の準強制性交等容疑で逮捕・起訴された。少しだけほっとしているが、やはり「いつか動画や自分の名前が世の中に出てしまうのでは」という不安はぬぐえない。「法律で早くすべてのデータを取り上げられるようにしてほしい」と唇をふるわせながら小さな声で話した。
弁護士有志でつくる犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長で、性犯罪被害に詳しい上谷さくら弁護士は「レイプや強制わいせつの現場で犯行状況を加害者が撮影しているのが犯行とセットになっていると言っても過言ではない」と語る。上谷弁護士によると、撮影したデータを「ばらされたくなかったら言うことを聞け」などと脅しの道具に使い、口止めや関係強要をしている。こうした事案はスマホが普及した5年ほど前から目立ち始めた。
◇私的空間「野放し」
盗撮を取り締まる都道府県の迷惑防止条例は、規制対象となる場所を拡大する改正が進むが地域差がある。東京都は7月施行の条例改正で学校や会社のトイレ・更衣室、カラオケの個室も規制対象に加えた。だが青森、埼玉、広島、山口の各県などは公園や道路など不特定多数が出入りする「公共の場・乗り物」に限られ、学校や会社のトイレ・更衣室は原則取り締まれない。軽犯罪法は刑罰が軽く、30日未満の拘留か1万円未満の科料程度で、データが没収できない。オフィスの個室など私的空間での盗撮は基本的に「野放し」だ。
さらに盗撮データは売買対象になり、被害の拡大を招く。東京都豊島区の飲食店のトイレで盗撮した動画を、インターネットで販売したとして10月にリベンジポルノ防止法違反容疑で警視庁に逮捕された男は、300人以上の女性を盗撮し、編集した動画で約2700万円を売り上げていた。
海外には盗撮罪を設けている国がある。南山大の末道康之教授(刑法)によると、ベルギーは2016年に盗撮罪を新設した。フランスは1970年から私生活に対する侵害行為として同意がない録画を禁じており、16年の刑法改正で性的な画像の公表を処罰対象に加えた。
盗撮ビデオは誰のものか。元東京地検検事の落合洋司弁護士によると、強制性交等罪や強制わいせつ罪などを立証する証拠として扱われた盗撮データは、捜査が終わって証拠物を返す際に被告の同意を得て削除する運用がされている。落合弁護士は「強制力のない対応だ」とデータが没収できない問題点を指摘する。
盗撮ビデオの没収の可否が注目された裁判がある。宮崎市のアロママッサージ店の経営者の男が女性客らに性的暴行を加えたとして強姦(ごうかん)罪などに問われた事件の裁判だ。男は性犯罪行為を盗撮していた。駅や路上など公的な場なら自治体の迷惑防止条例に、相手が18歳未満なら児童ポルノ禁止法に違反するが、撮影した場所が店内で被害女性が成人だったため、隠し撮り行為自体は罪に問われていなかった。
地裁は男が公判で「トラブルになった場合に備えて撮影した」と供述したことなどを理由に、15年12月にビデオ原本を没収し、2審の福岡高裁宮崎支部も支持。最高裁も今年6月、「(盗撮を)被害者に知らせて処罰を求めることを断念させ、刑事責任を免れようとしたと認められ、ビデオは犯罪のために使われたと言える」と没収可能との判断を示した。
一方、最高裁は加害者が性的に楽しむ目的で撮影した場合の対応には言及しなかった。犯罪被害者支援弁護士フォーラムは、性的に楽しむ場合は盗撮ビデオを没収できない可能性があると懸念する。
同フォーラムは今夏、同意のない性的な撮影を取り締まる全国一律の盗撮罪の創設を目指し、シンポジウムの開催など活動を始めた。しかし、性的意図を持って撮影した立証は難しく、何をもって盗撮とするか具体化には時間を要する。
「パパ活」を甘く見る女子中高生に迫る超危険/性被害や殺人の可能性を忘れてはいけない
2018.11.18 東洋経済オンライン キャリア・教育 (全2,343字)
「#パパ活初心者」「#パパ活大阪」「#パパ活JC」「#パパ活」--。
ツイッターなどのSNSで「パパ活」と検索すると、このようなハッシュタグをつけた投稿が多数見つかる。パパ活とは、パパと呼ばれる男性と食事やデートなどを行い、金銭的授与を受けることを指す。実態は必ずしもそうではないが、基本的に“性的関係を前提としない”とされている。
「#パパ活JC」の「JC」とは女子中学生を意味しており、同様に「#パパ活JK」の「JK」は女子高生を意味する。そんな若い世代がのめり込むパパ活だが、最近は脅迫や性被害につながるなど、リスクも明らかになってきた。
「パパ活」の温床はツイッターやインスタ
「#パパ活募集」「#パパ活初心者」「#p活(パパ活の略語)」などのハッシュタグがついたツイートには、多くの男性から「DM開放してください」「DMよろしくお願いします」などのリプライが寄せられている。
パパ活募集の投稿の特徴は、詳細な情報を載せるためと、それを取り締まる警察からの検索を予防するためか、画像を使って自らのスペックや相手に求める条件などを載せていることだ。
自らの年齢や学年、身長、会える時間、場所、1時間あたりの料金などを載せるほか、「体目的、お触り、録音、録画、密室空間(車含め)、暴力行為、ドタキャン、個人情報」などの禁止事項を載せている投稿が多い。
ある女子中学生と思しきアカウントは、前述の禁止事項に続いて「上記のことが起き不安に思った場合は返金無しに打ち切らせて頂きます」と注意書きも付けている。「過去ツイとかも確認します」とあり、パパになりたい男性の過去の投稿をもとに、信頼できるかどうか確認しているようだ。
また、女子高生と思しき別のアカウントはツイッターのパパ活募集ツイートに、「本気で会う気がある方がいましたら、インスタグラムのアカウントを教えるのでそこで顔などを確認していただけたらと思います」としていた。このように複数のSNSを活用してパパを募るケースもある。
そもそも援助交際自体も、売春を手軽な印象の言葉に言い換えたものだが、パパ活となるとさらにライトな印象になる。しかも前提として性的行為はなしとなれば、お手軽なバイト気分で投稿してしまう女子中高生が出てきてしまうのは当然と言えるかもしれない。
そして、インスタグラムでも「#パパ活募集」は行われている。「ツイッター凍結されちゃったんで、パパ活垢作りました」というただし書き付きで、ツイッターと同様条件や禁止事項などを画像で投稿している点は同じである。ツイッターやインスタグラムは匿名で複数のアカウントが作成できる。そのため、パパ活目的で使いやすいというわけだ。
しかし援助交際と違って、パパ活なら安全というわけではない。
日本郵便契約社員である20代男性が2018年2月に、東京豊島区のホテルで当時高校2年の女生徒(17歳)に現金2万円を渡し、わいせつな行為をしたとして逮捕された。男はツイッターでパパ活を募集し、連絡してきた女生徒と会ったという。
警察も「サイバー補導」で少女たちに注意喚起
性的行為がないことを前提としていたはずが、実際には児童買春や性暴力につながるケースが目立ってきているのだ。
そういった事件が続出する背景から、愛知県警少年課が2018年10月より、ツイッター上で児童買春につながりそうな書き込みに対して注意を促している。児童買春を引き起こすようなツイートには次のような文面が送られてくる。
「こちらは愛知県警少年課です。このツイートは児童買春などの被害につながるおそれがあります。また、見ず知らずの相手と会うことは、誘拐や殺人などの重大な被害に巻き込まれるおそれのある大変危険な行為です。」
同時に愛知県警少年課は、加害者となりうる成人のツイートに対しても、書き込みの削除を促している。
また大阪府警も今年8月から、パパ活を募集している少女たちの監視を強化しており、その待ち合わせ場所に訪れた少女らを補導する「サイバー補導」を行っている。
メディアなどでパパ活が騒がれる一方で、警察もその対策を強化しているのだ。
福岡県警筑紫野署も今年、県内の男子高生(当時17歳)を補導している。2018年9月、男子高生はツイッターに「福岡 17さい ままかつしたい#ママ活」と投稿。書き込みを見つけた同署員が男子学生に連絡すると、「2時間カフェでまったり会うので7000円」と返答。彼が待ち合わせ場所に現れたところを警察は補導した。
「パパ活」「ママ活」のリスク
このように年上の女性と会って金銭的援助を受ける「ママ活」も、SNS上にあふれている。また、ママ活をしようとする女性の投稿も少なくない。
筆者が過去に取材した、ある女子大生は親しい友人数名がパパ活をしていると言っていた。「父親から祖父くらいの年齢の相手と食事をしたりLINEをするだけで、月に数万円手にしているみたい」という。しかし、彼女自身は「パパ活に興味はない」と話す。「相手がストーカー化して大学に来てしまったという怖い話を聞いて、絶対ありえないと思っている」からだ。
「体目的、お触り、録音、録画、密室空間(車含め)、暴力行為、ドタキャン、個人情報」などが禁止事項として挙げられているのは、そのような危険と隣り合わせということ。2人きりで異性と会うのだから性的被害は受けやすい状況であるし、盗撮や録音されたら脅迫やリベンジポルノ被害につながる可能性もある。
すでに述べたとおり、パパ活やママ活はサイバー補導の対象だ。同時に、身の上にさまざまな重大な危険が降りかかる可能性が高い。もし周囲にパパ活やママ活に手を出している子どもいたら、その危うさをちゃんと伝えてあげてほしい。
リベンジポルノ防止法違反などの疑い
2018.11.09 朝刊
【愛知県】豊田署などは8日、私事性的画像記録の提供等被害防止法(リベンジポルノ防止法)違反やストーカー規制法違反(ストーカー行為)などの疑いで、日進市浅田町上ノ山、会社員h容疑者(53)を逮捕した。
逮捕容疑では、10月20~29日の3回にわたって、元交際相手の女性(57)の顔や裸の画像と名前、住所などを印刷した紙計4枚を豊田市内の路上に置いたとされる。
署によると、「印刷した紙を道路に置いたことは間違いないが、ストーカー行為はしていない」と容疑を一部否認している。紙を拾った通行人が署に届け出た。
盗撮動画:ネット販売 公然陳列容疑で男逮捕 /東京
2018.10.26 地方版/東京
トイレを盗撮した動画をインターネットで販売していたとして、池袋署は25日、墨田区石原1、会社員、n容疑者(42)をリベンジポルノ防止法違反(公然陳列)容疑で逮捕したと発表した。2017年秋ごろから、300人以上の女性を盗撮し、編集した動画で約2700万円を売り上げていたという。
逮捕容疑は豊島区内の飲食店トイレで20代女性を盗撮した動画を17年から1年間にわたってネットに公開したとしている。容疑を認めているという。
池袋署によると、9月中旬に女性から「自分の動画がネットにアップされている」と相談があった。同署員がカメラが仕掛けられている飲食店を特定し、張り込みを続けたところ、10月3日にカメラを回収しに来た名取容疑者を発見。同日、都迷惑防止条例違反容疑で逮捕していた。n容疑者は出勤前にカメラを仕掛け、夜に回収する手口を週5日繰り返していたという。
n容疑者と盗撮された女性の間には面識はなかった。リベンジポルノ防止法は面識のない相手を盗撮した場合にも適用される。【金森崇之】
女性300人を盗撮か 動画公開容疑 逮捕 42歳会社員
2018.10.25 東京夕刊
トイレの盗撮動画をインターネットに公開したとして、警視庁池袋署は25日、東京都墨田区石原、IT会社社員、n容疑者(42)(都迷惑防止条例違反容疑で逮捕)をリベンジポルノ被害防止法違反容疑で再逮捕したと発表した。女性約300人の盗撮動画を公開し、約1000万円の利益を得ていたという。
池袋署幹部によると、n容疑者は昨年秋から約1年間、豊島区の飲食店トイレ個室に仕掛けた小型カメラで盗撮した20歳代の女性が映った動画を、インターネットの動画販売サイトで公開した疑い。容疑を認めている。
n容疑者は週5日この店を訪れ、朝に仕掛けたカメラを夜になって回収していた。
SNSから事件後絶たず 県内若者、被害者にも、加害者にも 興味本位で画像投稿
2018.10.22 佐賀新聞
ツイッターなど会員制交流サイト(SNS)の利用に絡み、若い世代が事件の加害者や被害者になるケースが後を絶たない。佐賀県内でも、ツイッターに露出した下半身の画像を投稿したとして中高生らが摘発されたり、SNSを通じた裸の画像のやりとりなどが明るみに出たりしている。誰でも簡単に情報発信できるSNSが、使い方次第で犯罪につながるリスクをはらむことをどう啓発していくかが課題となっている。
ツイッターに下半身の画像を投稿したとして、佐賀県警は今年8~9月、県内などの中高生ら5人を書類送検した。5人は「自分の下半身を撮影して投稿した」と話し、出会い目的の動機があったとされる。
9月上旬には、SNSで女子高校生を脅したとする強要未遂容疑で、佐賀市の男子高校生を逮捕。やりとりの中で女子生徒から裸の画像を受け取り、脅迫の材料としたという。加害と被害は隣り合わせで、ツイッターの件で摘発された県内の男子高校生(18)は昨年11月、SNSで知り合った会社員の男(39)とみだらな行為をした疑いも浮上し、男の逮捕につながった。
県警サイバー犯罪対策課の藤井信吾サイバーセキュリティ対策官は「犯罪行為という自覚にとぼしい」と指摘。「放置しておけば、他人にも安易に裸の画像を強要するなどの犯罪にエスカレートしかねない。リベンジポルノや殺人といった命や人権が侵害される重大事件につながる恐れもある」とする。
県警人身安全・少年課によると、県内でSNSを介して18歳未満の子どもが裸の画像を要求されたり、相手と会って性被害に遭ったりした事件の摘発は、昨年までの5年間で計43件。4年前からは年間8~13件で推移している。5年間で摘発した37人のうち、7人が20歳未満の少年だった。
県警はツイッター投稿事件の一斉摘発に伴い、高校生以下のSNS利用に関するモラル向上の指導を強化するよう県教育委員会に申し入れた。担当者は「児童生徒が被害者にも加害者にもならないために、引き続き保護者、PTAと連携して指導したい」とする。一方、教育現場からは、子どもが実名以外で登録したアカウントを使っているケースがあり、現状把握の難しさを指摘する声もある。
情報モラル教育に取り組むNPO法人「ITサポートさが」(佐賀市)の陣内誠理事長は「興味本位から犯した過ちでもインターネットでは証拠が残り、拡散すると消せず、『若気の至り』では済まない。後で苦しむ恐れがあることを子どもに理解させるべき」と話し、保護者や学校現場を含め社会全体で啓発に取り組む必要性を指摘した。
KARA元メンバーを「リベンジポルノ」で脅迫か 青瓦台揺るがす大騒動
2018.10.12 夕刊フジ
韓国の5人組ガールズグループ、KARAの元メンバーで、歌手兼女優のク・ハラ(27)が、元交際相手の男に「リベンジポルノ」で脅迫されたと主張、現地メディアで大きく取り上げられた。問題は有名芸能人のスキャンダルにとどまらず、韓国大統領府(青瓦台)への請願やデモの発生など、国を巻き込む騒動に発展している。
ハラは2008年にKARAでデビュー。「ジェットコースターラブ」や「GO GO サマー!」「ミスター」などのヒットを連発し、日本でも人気だった。16年にグループの活動休止後、ハラは、韓国のドラマやバラエティー番組などで活躍している。
韓国メディアによると、問題の発端は先月13日、ハラに暴行を受けたと元交際相手の男が警察に通報。ハラは同18日に出頭し事情聴取を受けた。ハラは現地メディアのインタビューに「相手が『タレント人生を終わらせてやる』と言って、過去に撮影した2人の動画を送り、脅迫してきた」と訴えた。この動画がいわゆるリベンジポルノだというのだ。
その後、元交際相手は顔や腕が傷だらけの写真を公開し、代理人弁護士は9月13日にハラによって受けた暴行と主張。動画に関しては、ハラ側が提案してハラが撮影したものだとして、脅迫を否定しているという。
双方の言い分が対立するなか、韓国の女性を中心に怒りが爆発している。8日付聯合ニュース(日本語版)は、青瓦台のサイトにある「国民請願掲示板」で、リベンジポルノの加害者への処罰を強化するよう求める請願があり、20万人以上の賛同者がいると報じた。
同掲示板では30日以内に20万人以上賛同した案件については青瓦台の首席秘書官や関係閣僚が正式に回答することになっている。
中央日報(電子版)によると、今月6日にはソウル市内で、女性団体がハラの元交際相手を糾弾し、男性中心主義に抗議するデモを開き、約1万5000人が参加したと報じた。
韓国事情に詳しいライターの高月靖氏は「(韓国社会では)男性によるリベンジポルノのような事件があっても、男性に対しては比較的処罰が緩いとされる。一方、女性が仕返しに男性の個人情報などをネットでばらまく事件もあったが、女性への処罰が厳しいとの話がある。こうしたことが積もり積もって、ネット上で男女間の対立が過激化している」と話す。
告発の行方は-。
売春相手募った容疑で書類送検=静岡
2018.10.05 東京朝刊
天竜署は4日、浜松市天竜区、看護師の女(21)を売春防止法違反の疑いで静岡地検浜松支部に書類送検した。発表によると、女は今年2月中旬、インターネットの掲示板に売春の相手を求める書き込みをした疑い。容疑を認めている。
女は8月、売春相手の同市中区の会社員男(32)から、裸の画像をインターネット上に公開される「リベンジポルノ」の被害を受けたとして同署へ相談していた。男は8月28日、リベンジポルノ被害防止法違反の疑いで同署と県警人身安全対策課に逮捕された。
県警は「リベンジポルノの被害者であっても、売春はれっきとした犯罪」(幹部)としている。
売春防止法違反の疑い-天竜署が書類送検
2018.10.05 朝刊
天竜署は4日、売春防止法違反容疑で浜松市天竜区の看護師の女性(21)を静岡地検浜松支部に書類送致した。同署は8月下旬、リベンジポルノ防止法違反の疑いで同市中区の男性会社員を逮捕しており、女性はその被害者だった。
女性の送致容疑は2月中旬、インターネット掲示板に売春相手を募集する内容の文章を書き込んだ疑い。
同署によると、女性は旅行などに使う数万円を得る目的で「大人のお付き合い」などと繰り返し書き込み、複数の男性と関係を持っていたとみられる。
リベンジポルノ防止法違反で逮捕された男性とは数カ月にわたり繰り返し会っていたという。
リベンジポルノの疑い=新潟
2018.09.29 東京朝刊
見附署と県警子供女性安全対策課は27日、大阪府豊中市上新田、会社員a容疑者(59)と妻でパート店員のt容疑者(58)を、リベンジポルノ被害防止法違反などの疑いで逮捕した。県警が同法を適用するのは初めて。発表によると、2人は8月中旬、a容疑者の知人女性の裸の画像を印刷した紙などを入れた封筒を、県内の4企業に郵送した疑い。封筒が送られた企業から届け出を受けた県警が、両容疑者を特定した。2人はいずれも容疑を認めているという。
リベンジポルノなどの疑い=熊本
2018.07.20 西部朝刊
県警は19日、熊本市北区清水新地5、無職i容疑者(35)をリベンジポルノ被害防止法違反容疑などで逮捕した。県内での同法による逮捕は初めてという。発表では、4月5日午前4時頃、県外の女子高生(16)の裸の画像をインターネット上に掲載した疑い。「腹いせで写真を掲載した」と供述しているという。
「自分の裸写真」送る中高生女子のヤバい認識/オンラインとオフラインの区別がない子供達
2018.07.16 東洋経済オンライン
「ライブに行くおカネがほしい」
ある日、ツイッターで何の気なしにそんな投稿をした中学生女子のAさん。すると、見知らぬアカウントから「裸の写真を送ってくれたら、おカネをあげる」とメッセージが送られてきた。おカネがもらえるならと思った彼女は、自分の写真を送信。
ところが、送信後、相手は自分と付き合うよう要求し、断れば「写真をばらまく」と脅してきた。Aさんが拒否すると、相手は写真をネット上にアップロードして、それが拡散。いまも写真がネット上に残っているという。
こうした子どもの「自画撮り被害」が増えている。自画撮り被害とは、未成年がだまされたり、脅されたりして、自分の裸の写真をメールやSNSで送らされる被害のことだ。
警察庁が発表した「平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について」(2018年4月)によると、SNSが原因となる犯罪の被害児童数は過去最多。児童ポルノ及び児童買春事犯が増加傾向にあるという。また、同庁の「平成29年上半期における子供の性被害の状況」によると、児童ポルノのうち「自画撮り」被害が4割強と最多。被害者の内訳は中学生が5割、高校生が4割と中高生が大半を占めるが、小学生以下も1割弱いる。
2018年5月には、ツイッターで知り合った17歳少女に自分のわいせつな写真を送るよう要求した33歳男が、東京都の青少年健全育成条例違反容疑で書類送検されており、自画撮りの要求行為で摘発された全国初の事例となった。ほかにも同5月、ツイッターで知り合った男子中学生に自画撮り写真を送らせた26歳の男が、児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。
子どもたちが「裸の写真」を送る事情
なぜ子どもたちは見知らぬ男たちに裸の写真を送ってしまうのか。その背景には、スマートフォンが広く普及し、子どもたちの間で「自撮り」や、撮った写真を送り合うことが一般的になっていることがある。
同時に、SNSの利用が浸透していることも大きく影響している。子どもたちはスマホネイティブ、SNSネイティブ世代であり、人間関係に「オンラインとオフラインの区別」をつけない。それゆえ、SNSで交友関係を広げ、信用した人間には個人情報も教えてしまうのだ。
冒頭で紹介したような事例はほかにもある。
同じバンドが好きな同級生の女の子とツイッターで親しくなった高校生女子のBさん。悩みなども打ち明け合う仲になったが、あるとき、自身の体型の話に。先に裸の写真を送ってきたのは相手のほうだった。
Bさんが「太ってないよ」と送ると、「私が(写真を)送ったのにBは送ってくれないの?」と返ってきた。嫌われるのを恐れた彼女は、しぶしぶ自分の裸の写真を送った。
だが、その直後、女の子だと思っていたアカウントの主は「実は男」と告白したうえで、「この写真をばらまかれたくなかったら言うことを聞け」と脅してきた。その男の脅しに従ったBさんは、最終的には性被害にあってしまった。
「あまりにしつこく請われて送ってしまった」例もある。子どもたちはネットで知り合った相手を信じ、嫌われることを恐れる傾向にある。送ってしまったらどうなるかというリスクを考えられず、目先の嫌われる恐怖感から軽率な行動に出てしまう。
中学生女子のCさんは、自分の裸の写真がネット上に広まり、消せないままでいた。そのために、みんなが自分の陰口を叩いているのではないかという疑念が解消できず、引きこもりになってしまった。
自画撮り写真のいちばんの問題はリベンジポルノ問題と同様に、一度、広まった写真は消すのが難しい点だ。インターネット上に写真が掲載されたり、拡散されたりすることで、多くの人の目に触れて、将来にわたり精神的な苦痛を受け続ける可能性がある。
自画撮り被害が増えたのに伴い、各自治体も動いている。2018年2月、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の一部が改正された。これにより、18歳未満の未成年に自画撮り画像を送るよう不当に求める行為自体が罰則に問えるようになった。この結果、前述の摘発にもつながった。
東京以外の自治体も続いている。兵庫県でも、2018年4月より兵庫県青少年愛護条例の規定が改定されて、未成年に不当に自画撮り写真を要求する行為に罰則を規定。福島県でも、同様に青少年健全育成条例を改正し、要求行為に罰則を設ける予定だ。
既存の「児童ポルノ禁止法」では、18歳未満の未成年の裸の写真の単純所持は禁止しているが、要求行為だけでは取り締まることができない。そんな事情から、このように自治体が独自の規定を設け始めている。
ネットを利用する上で、子どもに教えたいこと
きちんと対策さえ打てば、自画撮り被害は防げる。子どもたちがSNSを通じて交友関係を広げることを止めるのは難しいが、「裸の写真を撮らない」「残さない」「他人に送らない」ことを徹底させることはできる。たとえ信頼する友人や交際相手に頼まれても裸の写真は絶対に送らないことを、子どもにはしっかりと伝えたい。
また、インターネットでは「正体を偽れる」ことも教えるべきだろう。加害者は性別・年齢・職業など、プロフィールを偽っている可能性が高い。同年代の同性と思っていてもなりすましの可能性があることを知り、万一に備えて必要以上の個人情報は渡さない、会いに行かないなどリスクに備えるべきだろう。
◎SNSトラブル どう防ぐ 鯖江で連絡会 教員ら現状、対策理解
2018.06.28 朝刊
SNSトラブル どう防ぐ
鯖江で連絡会
教員ら現状、対策理解
インターネットの会員制交流サイト(SNS)を巡る子どもたちのトラブルを未然に防ごうと、丹南青少年愛護センターは25日、鯖江市勤労青少年ホームで同センター管内の中高の生徒指導担当者を集めた連絡会を開いた。教員ら約40人が被害の現状や対策について学んだ。
丹南地区などの中学、高校、高専の計31校の教員らが参加し、NTTドコモ北陸支社と県警の担当者が講師を務めた。
同社のスマホ・ケータイ安全教室インストラクターの一ノ田悦雄さんがネットいじめやリベンジポルノなどトラブルの例を動画で紹介。一ノ田さんは「トラブルのほとんどは一般的な常識に反する行為から起きており、子どもたちのネットリテラシーを高めることが重要」と呼び掛けていた。
リベンジポルノ容疑の男 書類送検=岐阜
2018.06.21 中部朝刊
大垣署は20日、富山県立山町の会社員の男(44)をリベンジポルノ被害防止法違反容疑で岐阜地検大垣支部に書類送検した。県内での同法適用は初めてという。
発表によると、男は昨年12月19日から翌日未明にかけ、交際していた岐阜県内に住む40歳代の女性の性的な画像20枚をインターネットの掲示板に掲載した疑い。
男は以前、県内企業に勤めていたが、転職で立山町に移っており、「交際を断られて腹が立ってやった」と容疑を認めている。
リベンジポルノ 県内で初の摘発 男性を書類送検
2018.06.21 朝刊
【岐阜県】元交際相手の裸の画像をインターネット上に公開したとして、大垣署は二十日、私事性的画像記録の提供等被害防止法(リベンジポルノ防止法)違反の疑いで、富山県立山町、会社員男性(44)を書類送検した。同法違反による摘発は岐阜県内では初めて。
送検容疑では、昨年十二月十九日から二十日にかけて、県内の四十代女性の画像二十枚を、顔などが分かるようにしてウェブサイトに投稿し、多数の人が閲覧できる状態にしたとされる。男性は「交際解消を告げられ、その怒りからやった」などと容疑を認めている。
リベンジポルノ防止法違反の疑いなどで男を逮捕 /広島県
2018.06.20 大阪地方版/広島
広島西署は19日、広島市西区井口1丁目の会社員h容疑者(34)をリベンジポルノ防止法違反と名誉毀損(きそん)などの疑いで逮捕し、発表した。
h容疑者は2015年7月から先月にかけて、被害女性の裸や顔が写った画像を複数のインターネットサイトに投稿し、不特定多数が閲覧可能な状態にした疑い。先月被害女性が同署に相談し、発覚した。
「画像ばらす」と高1少女を脅す 富山北署、容疑の少年逮捕
2018.05.28 朝刊
交際相手の富山県内の高校1年生少女(15)に対し、「会わなければ(生徒の)画像をばらす」などと脅したとして、富山北署は27日、強要未遂の疑いで、県東部の自称解体工少年(16)を逮捕した。
逮捕容疑は24日午後1時半~2時、少女に「画像をばらす」などと電話したり、少女のツイッターに画像を送信したりして、会うように強要した疑い。
同署によると、少女が同日、被害届を提出して発覚した。同署は交際相手の裸などの画像を流出させる「リベンジポルノ」とみて、動機などを調べる。
出雲/SNSの危険性知って/農林高で教室/トラブル防止学ぶ
2018.05.23 本紙朝刊
未成年者が会員制交流サイト(SNS)利用をきっかけに犯罪に巻き込まれるのを防ごうと、出雲市下横町の出雲農林高校でこのほど、出雲署の少年補導職員を講師に招いた「ネットトラブル防止教室」があった。全校生徒約460人が講話やビデオ視聴を通し、危険性や注意点を学んだ。
2017年にSNS利用がきっかけで犯罪被害に遭った18歳未満の子どもは、全国で1813人に上り、過去最多を記録。県内でも17件が確認され、16年の7件から倍以上に増えた。
講師を務めた藤井睦少年補導職員は、昨秋発覚した神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が発見された事件を例に、インターネットを通じて知り合った人とは直接会わないよう指導。復讐(ふくしゅう)目的で交際相手の裸の画像などをネット上などに流出させる「リベンジポルノ」についても注意を呼び掛けた。
ネット利用 気を付けて いじめ・リベンジポルノ…トラブルも 尾道 小中高生向けパネル展
2018.05.16 朝刊
ネット利用 気を付けて
いじめ・リベンジポルノ…トラブルも
尾道 小中高生向けパネル展
小中高生を対象に、インターネットで生じるトラブルや犯罪の事例を伝えるパネル展が、尾道市防地町の市人権文化センターで開かれている。無料。
1階ギャラリー前にパネル14点を展示した。無料通信アプリのグループ会話で仲間はずれにされるいじめ、わいせつな画像を流される「リベンジポルノ」の事例を示して啓発。作者に無断で転載された動画や音楽をダウンロードしないように呼び掛けている。
同市高須町の主婦古沢愛さん(35)は「娘がスマートフォンを持つ時はトラブルにならないよう気を付けたい」と話していた。
SNSから被害、防止に力 GW前、高校生に注意 県警 /群馬県
2018.04.28 東京地方版/群馬
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて、中高生が被害者になる事件が後を絶たない。昨年、神奈川県座間市で9人の遺体が発見された事件で、被害者となった県内の高校1年の女子生徒は、容疑者とツイッターで知り合っていた。県警は次の被害者を出さないよう対策に力を入れる。
「事情聴取の時間的拘束や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的負担。犯罪被害者になると今までと同じ生活が送れなくなる」。藤岡市の県立藤岡北高の体育館で16日、藤岡署生活安全課の神宮洋介課長が生徒に語りかけた。
誘拐や自撮り写真強要、リベンジポルノ、美人局(つつもたせ)……。実際に県内で起きたSNSが関わった事件を紹介し、「取り調べのために家族や友人にも大きな迷惑がかかる。悩みごとはSNSではなく、警察や学校の先生に頼ってください」。
藤岡署は管内4高校全てで同様の指導をした。神宮課長は「大型連休前にSNSの利用について考えてほしかった」と話す。
座間事件では、容疑者が被害者をSNSで次々と誘い出していたとされる。県内の中高生がSNSなどを通じて出会った人物から誘拐や性犯罪の被害を受ける事件も続いている。
県警は今年2月、無料の出会い系アプリで知り合った県内の女子高校生(当時16)とホテルでみだらな行為をしたとして、県青少年健全育成条例違反の疑いで桐生市の中学校非常勤職員の男(当時27)を逮捕した。男は簡裁で罰金50万円の略式命令を受け、市教委に懲戒免職とされた。
3月には無料通信アプリで知り合った県内の女子中学生(当時13)に「ワンルームマンション全部そろってます。服と靴も用意する」などと送り、自分の車に誘い込んだとして、東京都墨田区の会社員の男(当時45)を未成年者誘拐の疑いで県警が逮捕。前橋地検は4月、男をわいせつ目的誘拐の罪で起訴した。
県警によると、犯罪などに巻き込まれた可能性があると判断された「特異行方不明者」は、今年1~3月で177人(前年同期比45人増)。若者の場合、「長期休暇、特に始業式の前後に行方不明になる場合が多い」(県警幹部)という。
県警は部署を横断して未成年の特異行方不明者の初動捜査にあたる「人身安全対処ユニット」を昨年末につくった。今年3月までに対象になった延べ15人全員を保護。さらに捜査態勢の見直しで、被害抑止を図る構えだ。
スマホ 使い方で「凶器に」*室工大 新入生対象に教室
2018.04.20 北海道新聞夕刊地方
スマートフォンを巡るトラブルの防止や対策について学ぶ「スマホ・ケータイ安全教室」が、室蘭工業大の新入生を対象に同大で開かれた。
通信大手のKDDI北海道総支社(札幌)が2016年度から道内の大学で実施している。室工大では昨年に続き2回目の開催で、16日に実施した教室には情報電子工学系学科の新入生約100人が出席した。
同支社の浅見洋マネジャーが、スマホを壊された腹いせに相手の望まない写真を拡散させたり、熊本地震発生後に「動物園の猛獣が逃げた」とうそをツイッターに投稿して逮捕されたりした例を動画で紹介した。
元交際相手の裸の画像を公開する「リベンジポルノ」の被害にもふれ、「人間の感情が高ぶった瞬間が危険だ」と強調。「スマホは凶器にもなり、一生消えない傷を与えてしまう」と注意を呼びかけた。(須田幹生)
特集ワイド:#MeTooが広がらない
2018.04.12 東京夕刊
島国だから、という理由ではないだろう。昨年秋、米ハリウッドから始まったセクハラ撲滅運動「#MeToo(私も被害者)」が日本では広がらない。欧米では大きなうねりになっているのに――。その背景には何があるのだろう。
◇遠い世界の出来事だから
大手金融機関に総合職として勤めている女性(37)は浮かない表情を見せた。「『#MeToo』ですか? 米国の芸能界で起こった、遠い世界の出来事というぐらいの認識しかなくて」。この企業は社内外に「女性活躍推進」をアピールしているが、セクハラは日常的にあるという。例えば、大口取引先の男性部長からはこう言われたことがある。「女性はサポートが向いている。男性がバリバリ仕事をすべきで、君みたいに前に出てくる女は好きじゃない」。商談に男性社員を連れていかなければ「女だけをよこすなんてばかにされている」と機嫌が悪くなる。
無理やり体を触った、性的な発言をしたというわけではないが、前述の事例はセクハラだ。でも、この女性は同僚らに助けられたこともなく、会社に訴えようと考えたこともない。「どうせ『だから女は感情的だ』程度にしか思われないし、自分が担当を外されるかもしれない。受け流してこそ、社会で生き残れる。実際、社内のセクハラ相談室に訴えた女性も何となく周囲から敬遠されがちですし……」とこぼす。
この体験談にうなずいてしまう女性たちにとって「#MeToo」運動は確かに遠い世界の出来事なのだろう。
◇欧米より「弱い」日本人女性
欧米では、セクハラで地位のある人たちが次々と失脚する事例が目立つ。韓国でも「#MeToo」運動をきっかけに次期大統領候補と目される知事が辞任し、政界に激震が走った。
翻って日本。一部の人が声を上げたが、「#MeToo」運動が連日報じられる社会問題には至っていない。なぜか?
「日本の女性は、欧米よりも弱い立場に置かれているからです」と断言するのは、在仏ライターで「フランスはどう少子化を克服したか」などの著書がある高崎順子さんだ。
欧米の「#MeToo」運動に対する国民の反応を調べていた高崎さんは、国際機関「世界経済フォーラム」が毎年発表している「ジェンダーギャップ指数」の順位と相関性があることに気づいた。男女平等の社会を築き、指数が高い国ほど運動に理解を示していた。日本は2017年現在で144カ国中114番目とかなり低かった。
高崎さんによると、指数が高い国は、被害者が訴えても周囲から「言い過ぎ」「やられた側に落ち度はないのか」などと責められる事態にはならないという。そうはいっても11位のフランスでは、女優のカトリーヌ・ドヌーブさんが「口説く自由は認められるべきだ」と男性を擁護するような発言をして話題になった。高崎さんが解説する。「彼女の発言の根底には『セクハラやパワハラは絶対的に悪いことなんだから、声を荒らげて大騒ぎしなくても冷静に話せば事態は改善されるはず』といった社会的合意があります。でも日本では黙っていればセクハラはなかったことにされ、大声で訴えればバッシングを受ける。これでは運動が広がらなくて当たり前でしょう」
「#MeToo」の動きを受け、被害を受けていても声を上げるのは無理という人、さらには相手の実名を挙げての告発にためらう人や反発する人などもいる。だがこの運動は、もっと広範囲の意味を持つ。大阪大教授の牟田和恵さん(ジェンダー論)は「有名人が名前を出して訴えることに注目が集まっていますが、告発だけが目的ではありません。世界中で、ごく普通の女性たちが『性暴力やハラスメントにNOと言おう!』と声を上げているのです」と語る。
だが、日本では匿名ですら言いにくいのが現状だ。「日本の女性は人の意に沿い、従順であるよう幼い時から教え込まれています。だから、不快に思ってもなかなか嫌だと言えない。たとえ被害を訴えることができても、相手は『合意の上だった』などと言い続け、周囲も被害女性を責める場合が多々あります」。これでは被害者の声を抑える土壌があると言われても仕方がないだろう。
今回の運動の中でも、日本では被害を訴えた人がバッシングを受けたことがあった。このことを「二重に悪質です」と牟田さんは言う。「やっと嫌だと言い始めた立場の弱い人たちに、まだ我慢し続けろと言っているのと同じ。この運動がなかなか広がらないことが、日本社会がセクハラや性暴力をなくそうと本気で思っていない証拠なんです」。そう話す口調は厳しい。
◇気遣うだけで組織は変わる
米国発の「#MeToo」運動に注目が集まるが、劇作家の平田オリザさんが主宰する「青年団」ではこれまでセクハラの撲滅に積極的に取り組んできた。それでも「魔の手」は忍び寄る。昨年、劇団のメンバーではない男性演出家が、青年団での起用をにおわせてセクハラを行ったと、複数の女性から告発されたのだ。男性演出家は事実を認めて謝罪したが、平田さんは「二度と演劇界に関わらないでほしい」とブログなどで問題を起こした演出家を強く非難し、話題になった。
平田さんが怒るのは、劇団名をだしに使われたからだけではなく、約20年前からセクハラ対策に腐心し試行錯誤を重ねてきたからだ。劇団にはルールがある。例えば、年長者が異性を2人だけの酒の場に誘ってはいけない▽「それってセクハラだ」などとちゃかすこともいけない▽セクハラが疑われる行為を把握すれば、先入観なく双方から話を聞く――などだ。
これまでにセクハラが原因で重要な取引先との関係を切ったり、重要な役割を担っていた人が劇団を辞めたりしたこともあった。それでも平田さんは、ぶれずに方針を貫いた。「ハラスメントをする人は組織の血栓のようなもので、他でも少なからず問題を起こす。一方、ハラスメントをしないように相手を気遣う人が増えるだけで、組織の風通しはすごくよくなる」
平田さんはこう考える。「ハラスメントに厳しくしても、決して窮屈な組織や社会にはならない。むしろ逆です。日本では特に、リーダーの立場を任せられがちな男性が自覚を持たないとハラスメントは排除できません」
デートレイプやリベンジポルノの被害に遭った女性を描いてきた作家の柚木麻子さんは「男性にとっても、女性がセクハラを受けない社会の方が生きやすいはず。それなのにこの問題になると、なぜか男性と女性が分断されて論争が起き、被害者に落ち度があったのではと批判されます」と嘆く。
では、ハラスメントをなくす鍵は見つかるのだろうか。柚木さんは「男女が『自分より弱い立場の人を抑圧するのはやめよう』と手を携えることです。誰もが無理な我慢を強いられず生きられる。そんな新しい価値観を吸収できれば、相手を上から力で抑えつけるようなハラスメントは起こらないはず」。
「#MeToo」の意味が、私も幸せ、となる日は来るのか。
暮らしの法律相談/リベンジポルノ/ネット上の画像 削除可能/-リベンジポルノって、少し前からよく聞くようになりましたけど、具体的にはどのような行為を言うのですか。/「リベンジポルノとは、元交際相手や元
2018.03.22 河北新報記事情報
リベンジポルノ/ネット上の画像 削除可能
-リベンジポルノって、少し前からよく聞くようになりましたけど、具体的にはどのような行為を言うのですか。
「リベンジポルノとは、元交際相手や元配偶者に対する嫌がらせや復讐(ふくしゅう)(リベンジ)の目的で、交際中や婚姻中に撮影した相手方の裸の写真などを、インターネットに投稿するなどして不特定多数者に公開する行為を言います」
-不特定多数の人に見られるなんて、考えるだけで怖いです。リベンジポルノを規制する法律はないのでしょうか。
「2013年10月、被害女性が復縁を迫る元交際相手に殺害された上、交際中に撮影された性的画像をインターネットに拡散されたという、三鷹ストーカー殺人事件が起きました。この痛ましい事件を機に、14年11月19日、『私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律』、いわゆるリベンジポルノ防止法が国会で可決・成立しました」
-どのような内容の法律なのですか。
「リベンジポルノ防止法は、(1)リベンジポルノに対する罰則(懲役や罰金)の定め(2)インターネット上に流布された画像などの削除を実現するための特例の定め(3)被害者に対する支援体制の整備充実を図ること-を主な内容とした法律です」
-もしインターネット上に画像が公開されてしまった場合、削除するにはどうすればよいのですか。
「インターネット上の画像や情報について削除を求める場合は、いわゆるプロバイダーに対し削除の申し出をする方法を取ります。『プロバイダ責任制限法』という法律があり、権利が不当に侵害されていると信ずるに足りる相当の理由がある場合には、プロバイダーなどは即時に削除などを行うことができます。また、プロバイダーなどから発信者に対し照会をかけ、7日以内(リベンジポルノについては2日以内)に発信者から不同意の申し出がなかったときにも、削除などを行うことができます」
[きょうナニある?]/話題/リベンジポルノ千件突破/3年連続 20代被害最多
2018.03.20 朝刊
復讐(ふくしゅう)のために交際相手の裸の写真などを流出させるリベンジポルノについて、昨年1年間に全国の警察に寄せられた相談は前年より180件(16.9%)多い1243件だったことが15日、警察庁のまとめで分かった。初めて年間の統計をまとめた2015年から3年連続で千件を突破、深刻な状態で推移している。沖縄は22件だった。
警察庁によると、被害者は若い世代に多く、最多は20代の468人。次いで19歳以下307人、30代214人だった。これらの年代で、全体の79.6%を占めた。最年少はいずれも11歳の小5と小6の女児だった。
全体の被害者のうち1138人(91.6%)は女性。加害者との関係は、元を含む交際相手が最も多い765人(61.5%)で、インターネット上の関係だけの友人知人も164人(13.2%)いた。
加害者は多い順に20代294人(23.7%)、30代238人(19.1%)、40代227人(18.3%)など。性別は1039人(83.6%)が男性だった。
リベンジポルノ相談急増 昨年 ストーカー被害2万3079件
2018.03.16 西部朝刊
警察庁は15日、昨年1年間に全国の警察が把握したストーカー被害は2万3079件で、過去最多だったと発表した。昔の交際相手の裸の画像をインターネット上に公開する「リベンジポルノ」の相談も急増した。
ストーカー被害者の88・3%は女性で、20代が35・5%、30代24・9%、40代19%、10代10・1%。加害者は20~40代が約6割を占めた。関係は、「交際相手」(元を含む)が44・8%で最も多く、「知人・友人」は13・2%、「同僚・職場関係」は11・0%。「面識なし」も7・4%に上った。
摘発件数は2625件で、昨年1月から規制されたSNSのメッセージ連続送信等は94件、周囲をうろつく行為は53件だった。
警告件数は、前年比297件減の3265件。禁止命令等は同489件増の662件で、過去最多だった。昨年6月から導入された警告を経ない禁止命令等は463件で、このうち220件は「被害者の身に危険が及ぶ」と判断した緊急禁止命令だった。
全国最多となる59件の緊急禁止命令を出した福岡県警は、これまで聴聞手続きなどで命令を出すまで3週間以上かかることもあったという。同県警が受理したストーカー相談件数は警視庁に次いで多い1589件で、県警幹部は「重大事案に発展する前に加害行為をやめさせることが可能になった」としている。
一方、リベンジポルノの被害相談は統計を取り始めた2014年以降、最多の1243件。相談者の年齢は、20代が468件(37・7%)、19歳以下が307件(24・7%)だった。
相手との関係は、765件が交際相手(元を含む)で、インターネット上でのつながりしかない知人・友人は164件。摘発した283件のうち57件は、裸の画像などを同意なしにネットに掲載することなどを禁じたリベンジポルノ被害防止法違反だった。
配偶者や同居の交際相手へのドメスティック・バイオレンス(DV)被害も14年連続で増加し、過去最多の7万2455件に上った。
リベンジポルノ 被害相談が急増
2018.03.16 東京朝刊
警察庁は15日、昨年1年間に全国の警察が把握したストーカー被害は2万3079件で、過去最多だったと発表した。昔の交際相手の裸の画像をインターネット上に公開する「リベンジポルノ」の相談も急増した。
ストーカー被害者の88・3%は女性で、20代が35・5%、30代24・9%、40代19%、10代10・1%。加害者は20~40代が約6割を占めた。関係は、「交際相手」(元を含む)が44・8%で最も多く、「知人・友人」は13・2%、「同僚・職場関係」は11・0%。「面識なし」も7・4%に上った。
摘発件数は2625件で、昨年1月から規制されたSNSのメッセージ連続送信等は94件、周囲をうろつく行為は53件だった。
一方、リベンジポルノの被害相談は統計を取り始めた2014年以降、最多の1243件。相談者の年齢は、20代が468件(37・7%)、19歳以下が307件(24・7%)で、20代以下が6割以上を占めた。
相手との関係は、765件が交際相手(元を含む)で、インターネット上でのつながりしかない知人・友人は164件。摘発した283件のうち57件は、裸の画像などを同意なしにネットに掲載することなどを禁じたリベンジポルノ被害防止法違反だった。
交際中に撮影を持ちかけられて応じたケースも多く、同庁は「軽い気持ちで要求に応じると後悔することになる」と呼びかけている。
配偶者や同居の交際相手へのドメスティック・バイオレンス(DV)被害も14年連続で増加し、過去最多の7万2455件に上った。
リベンジポルノ 3年連続千件超 20代の被害が最多
2018.03.16 朝刊
復讐(ふくしゅう)のために交際相手の裸の写真などを流出させるリベンジポルノについて、昨年1年間に全国の警察に寄せられた相談は前年より180件(16・9%)多い1243件だったことが15日、警察庁のまとめで分かった。初めて年間の統計をまとめた2015年から3年連続で千件を突破、深刻な状態で推移している。
警察庁によると、被害者は若い世代に多く、最多は20代の468人。次いで19歳以下307人、30代214人だった。これらの年代で、全体の79・6%を占めた。最年少はいずれも11歳の小5と小6の女児だった。
全体の被害者のうち1138人(91・6%)は女性。加害者との関係は、元を含む交際相手が最も多い765人(61・5%)で、インターネット上の関係だけの友人知人も164人(13・2%)いた。
加害者は多い順に20代294人(23・7%)、30代238人(19・1%)、40代227人(18・3%)など。性別は1039人(83・6%)が男性だった。
相談の内容は、「画像を公表すると脅された」が514件で最も多く、ほかは「画像を所持されている、撮影された」362件、「画像を送りつけられた」255件、「画像を公表された」236件など。
14年に施行したリベンジポルノ防止法違反での摘発は57件で、前年比で9件(18・8%)の増加。リベンジポルノに関連した刑法犯などの摘発は226件で12件(5・0%)減となり、内訳は脅迫56件、児童買春・ポルノ禁止法違反39件、強要37件、ストーカー規制法違反26件などだった。
都道府県警別の相談件数で多かったのは、東京の警視庁の128件、愛知県警の85件など。最少は高知県警の3件。本県は21件(同9件減)。被害者21人中20人が女性で、うち10代と20代がともに7人で最多だった。相談内容は「画像を公表すると脅された」が最多だった。
復讐ポルノ相談3年連続1000件超 昨年の全国
2018.03.16 山梨日日新聞
復讐のために交際相手の裸の写真などを流出させるリベンジポルノについて、昨年1年間に全国の警察に寄せられた相談は前年より180件(16・9%)多い1243件だったことが15日、警察庁のまとめで分かった。初めて年間の統計をまとめた2015年から3年連続で千件を突破、深刻な状態で推移している。
警察庁によると、被害者は若い世代に多く、最多は20代の468人。次いで19歳以下307人、30代214人だった。これらの年代で、全体の79・6%を占めた。最年少はいずれも11歳の小5と小6の女児だった。
全体の被害者のうち1138人(91・6%)は女性。加害者との関係は、元を含む交際相手が最も多い765人(61・5%)で、インターネット上の関係だけの友人知人も164人(13・2%)いた。
加害者は多い順に20代294人(23・7%)、30代238人(19・1%)、40代227人(18・3%)など。
山梨県警によると、リベンジポルノの相談は前年より1件増の8件。リベンジポルノ防止法違反による摘発は0件、リベンジポルノに関連した刑法犯は4件だった。
リベンジポルノ1243件*相談16.9%増*11歳女児被害も
2018.03.15 北海道新聞夕刊全道
復讐(ふくしゅう)のために交際相手の裸の写真などを流出させるリベンジポルノについて、昨年1年間に全国の警察に寄せられた相談は前年より180件(16・9%)多い1243件だったことが15日、警察庁のまとめで分かった。初めて年間の統計をまとめた2015年から3年連続で千件を突破、深刻な状態で推移している。(関連記事1面)
都道府県警別の相談件数で多かったのは、東京の警視庁の128件、愛知県警の85件など。最少は高知県警の3件。道警は39件だった。
警察庁によると、被害者は若い世代に多く、最多は20代の468人。次いで19歳以下307人、30代214人だった。これらの年代で、全体の79・6%を占めた。最年少はいずれも11歳の小5と小6の女児だった。
全体の被害者のうち1138人(91・6%)は女性。加害者との関係は、元を含む交際相手が最も多い765人(61・5%)で、インターネット上の関係だけの友人知人も164人(13・2%)いた。
加害者は多い順に20代294人(23・7%)、30代238人(19・1%)、40代227人(18・3%)など。性別は1039人(83・6%)が男性だった。
相談の内容は、「画像を公表すると脅された」が514件で最も多く、ほかは「画像を所持されている、撮影された」362件、「画像を送りつけられた」255件、「画像を公表された」236件など。
14年に施行したリベンジポルノ防止法違反での摘発は57件で、前年比で9件(18・8%)増加した。
リベンジポルノに関連した刑法犯などの摘発は226件で12件(5・0%)減となり、内訳は脅迫56件、児童買春・ポルノ禁止法違反39件、強要37件、ストーカー規制法違反26件などだった。
ストーカー最多2万3079件 昨年 法改正で対象拡大
2018.03.15 夕刊
昨年一年間に全国の警察が把握したストーカー被害は二万三千七十九件で、前年から三百四十二件(1・5%)増え、ストーカー規制法が施行された二〇〇〇年以降、最多だったことが警察庁のまとめで分かった。警察庁は「社会的意識の高まりや相談体制の拡充で、潜在化していた被害が積極的に相談されるようになったため」とみている。
東海三県と滋賀県の被害は、愛知千三百二十二件、岐阜五百六十八件、三重三百五十三件、滋賀三百五十一件だった。
ストーカー規制法違反に基づく警告と禁止命令は、全国で計三千九百二十七件で、前年より百九十二件増えた。昨年六月の規制法改正で警告を経ずに禁止命令を出せるようになった影響で、禁止命令は前年の四倍近くの六百六十二件になり、過去最多だった。
刑法犯やストーカー規制法違反などでの摘発は、前年比六十三件減の二千六百二十五件。警察庁の担当者は「加害者が傷害や暴行などに及ぶ前に、警告や禁止命令で迅速に対処できた結果ではないか」と分析している。
摘発の内訳は、ストーカー規制法違反が九百二十六件。このうち、昨年一月の法改正で新たに規制対象となった「会員制交流サイト(SNS)メッセージの連続送信等」は九十四件、「うろつき」は五十三件だった。
被害者と加害者の関係は元を含む交際相手が最多の44・8%。知人・友人が13・2%、勤務先同僚・職場関係が11・0%、内縁や元を含む配偶者が7・4%など。一方で「関係、行為者不明」が7・8%、「面識なし」7・4%など、対策が難しい被害もあった。
一方、交際相手の裸の画像などを流出させる「リベンジポルノ」の相談は千二百四十三件(前年比16・9%増)で、年間の統計を取り始めた一五年以降、三年連続で千件を超えた。
◇
増えるサイバー被害
個人情報「SNS上は危険」
年々、増加を続けるストーカー被害。近年は、SNSを通じて一方的に好意を抱き、インターネット上で執拗(しつよう)に交際を迫るなどの「サイバーストーカー」も目立つ。ストーカー問題に取り組むNPO「ヒューマニティ」(東京)への相談の約三割を占める。小早川明子理事長は「SNSでの望まない誘いには、初めの段階で『NO』とはっきり意思表示することが大事」と話す。
「今、君の家の駅まで来てるよ。結婚したい」。昨年十二月、中部地方に住む三十代の女性のツイッターに、顔を合わせたことのない関東地方の三十代の男がつぶやいてきた。
女性は昨年秋、交流サイトでこの男とつながった。身の上話などはしたが、会ったことはない。だが、男が一方的に「結婚したい」と求めるように。女性が断ると、「裏切ったな」「俺をもてあそんだのか」と怒りのメッセージが続いた。「殺されてしまうのでは…」と恐れた女性は、引っ越しせざるを得なかった。
ヒューマニティによると、サイバーストーカーは相手と面識がなくても、フェイスブックなどから居場所を突き止めて脅したり、友人や会社に中傷のメッセージを送ったりする。
全国の昨年一年間のストーカー相談のうち、被害者と加害者に面識のなかったケースは千七百十六件(7・4%)、行為者が分からなかったものも千七百九十七件(7・8%)あった。警察庁生活安全企画課の担当者は「件数、割合ともに増えている」と話す。
昨年一月のストーカー規制法改正ではSNSメッセージの連続送信が規制対象になった。SNSに関する警告と禁止命令は昨年、全国で計二百九十三件に上った。ヒューマニティの小早川理事長は「住所や職場をSNSで不用意にさらすのは危険だ。相手に異変を感じたら、すぐに相談してほしい」と呼び掛ける。
リベンジポルノの疑い=静岡
2018.03.09 東京朝刊
浜松中央署は7日、愛知県蟹江町舟入、会社員i容疑者(44)をリベンジポルノ被害防止法違反容疑で逮捕した。県内での同法による逮捕は初めてという。
発表によると、i容疑者は昨年8月15日、以前交際していた浜松市の女性(28)の性的な画像を、名前とともにインターネットの掲示板に掲載した疑い。「間違いない」と容疑を認めている。
SNSに裸画像 容疑の男逮捕=京都
2018.02.28 大阪朝刊
海外のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「タンブラー」に、知人女性の裸の画像などを投稿したとして、府警は27日、大阪市福島区、会社員h容疑者(28)をリベンジポルノ被害防止法違反の疑いで逮捕した。容疑を認めているという。
発表では、h容疑者は昨年6月、出会い系サイトで知り合った20歳代の女性の裸などを撮影した画像を投稿した疑い。タンブラー上には女性の身元を示すものも一緒に公開されていた。
タンブラーは画像や動画が簡単に投稿できるのが特徴で、世界に約2億人の利用者がいるという。
性的写真「恋人なら共有」1割 20代のスマホ利用者
2018.01.17 東京夕刊
独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)がスマートフォン利用者を対象に行ったアンケート調査で、20歳代の11・3%が、「恋人など親密な間柄なら、自分の性的な姿の写真や動画をSNSで共有しても構わない」と回答した。10歳代でも7・5%あり、専門家は「一度手を離れた写真はネット上で独り歩きするリスクがあると認識すべきだ」と警告している。
昨年9月に実施した調査で、スマホを使う13歳以上の男女5000人が答えた。回答全体では、「自分の性的な写真や動画を共有しても構わない」と考える相手について、「なし」と答えたのが85・1%(20歳代77・3%、10歳代81・2%)を占めた一方、「恋人など非常に近しい間柄」が7・4%あった。
ただ、親密な相手であっても、交際のもつれから裸の画像などをインターネット上に公開される「リベンジポルノ」の被害に遭う恐れがある。2016年のリベンジポルノに関する警察への相談件数は1063件で、2年連続で1000件を超えた。
情報モラルに詳しいセキュリティー会社ラックの七條麻衣子・客員研究員は「操作の簡単なスマホの登場が、『共有』という行為のハードルを下げているのだろう。しかしネット上に流れれば、転送や印刷もできてしまう。18歳未満なら撮影した時点で、児童ポルノ製造という違法行為になる」と指摘している。