福岡県暴力団排除条例
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 暴力団の排除に関する基本的施策等(第6条―第12条)
第3章 青少年の健全な育成を図るための措置(第13条・第14条)
第4章 暴力団員等に対する利益の供与の禁止等(第15条―第17条)
第5章 暴力団員等が利益の供与を受けることの禁止等(第18条)
第6章 不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置等(第19条・第20条)
第7章 義務違反者に対する措置等(第21条―第23条)
第8章 雑則(第24条)
第9章 罰則(第25条・第26条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、暴力団が県民の生活や社会経済活動に介入し、暴力及びこれを背景とし
た資金獲得活動によって県民等に多大な脅威を与えている福岡県の現状にかんがみ、福岡県
からの暴力団の排除(以下「暴力団の排除」という。)に関し、基本理念を定め、並びに県
及び県民等の役割を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する基本的施策、青少年の健
全な育成を図るための措置、暴力団員等に対する利益の供与の禁止等を定めることにより、
暴力団の排除を推進し、もって県民の安全で平穏な生活を確保し、及び福岡県における社会
経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるとこ
ろによる。
一 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第
2条第2号に規定する暴力団をいう。
二 暴力団員 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴
力団員をいう。
三 暴力団員等 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。
四 県民等 県民及び事業者をいう。
五 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。
(基本理念)
第3条 暴力団の排除は、県民等が、暴力団が社会に悪影響を与える存在であることを認識し
た上で、暴力団の利用、暴力団への協力及び暴力団との交際をしないことを基本として、県
、市町村及び県民等が相互に連携し、及び協力して推進されなければならない。
(県の役割)
第4条 県は、県民等の協力を得るとともに、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法
律第32条の2第1項の規定により公安委員会から福岡県暴力追放運動推進センターとして
指定を受けた者その他の暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体との連携を図り
ながら、暴力団の排除に関する施策を総合的に推進するものとする。
(県民等の役割)
第5条 県民は、暴力団の排除のための活動に自主的に、かつ、相互の連携協力を図って取り
組むとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業(事業の準備を含む。以下同じ。)により暴力団を利することと
ならないようにするとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するものとす
る。
3 県民等は、暴力団の排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報
を提供するよう努めるものとする。
第2章 暴力団の排除に関する基本的施策等
(県の事務及び事業における措置)
第6条 県は、公共工事その他の県の事務又は事業により暴力団を利することとならないよう
、暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者を県が実施する入札に参加
させない等の必要な措置を講ずるものとする。
(警察による保護措置)
第7条 警察本部長は、暴力団の排除のための活動に取り組んだこと等により暴力団から危害
を加えられるおそれがあると認められる者に対し、警察官に警戒をさせるなど、当該者の保
護のために必要な措置を講ずるものとする。
(県民等に対する支援)
第8条 県は、県民等が暴力団の排除のための活動に自主的に、かつ、相互の連携協力を図っ
て取り組むことができるよう、県民等に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うものと
する。
(訴訟の援助)
第9条 県は、暴力団事務所の使用の差止めの請求、暴力団員等による犯罪の被害に係る損害
賠償の請求その他の暴力団員等に対する請求に係る訴訟であって、暴力団の排除に資すると
認められるものを提起し、又は提起しようとする者に対し、規則で定めるところにより、そ
の訴訟に関する費用に充てる資金の貸付けを行うとともに、当該訴訟に関し、情報の提供そ
の他の必要な援助を行うことができる。
(貸付金の償還等)
第10条 前条の規定による資金の貸付けを受けた者は、当該貸付けに係る訴訟が終了したとき
は、当該訴訟に係る請求の全部が棄却された場合を除き、その貸付金を償還しなければなら
ない。
2 知事は、規則で定めるところにより、前条の規定による貸付金の償還金の支払を猶予し、
又は当該貸付金の全部若しくは一部の償還を免除することができる。
(広報及び啓発)
第11条 県は、県民等が暴力団の排除の重要性について理解を深めることができるよう、暴力
団の排除の気運を醸成するための集会を開催するなど、広報及び啓発を行うものとする。
(市町村への協力)
第12条 県は、市町村において暴力団の排除のための施策が講じられるよう、市町村に対し、
情報の提供、技術的助言その他の必要な協力を行うものとする。
第3章 青少年の健全な育成を図るための措置
(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)
第13条 暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地の周囲200メートルの区域内においては、
これを開設し、又は運営してはならない。
一 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)又は同
法第124条に規定する専修学校(高等課程を置くものに限る。)
二 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設又は同
法第12条第1項に規定する児童相談所
三 図書館法(昭和25年法律第118号)第2条第1項に規定する図書館
四 博物館法(昭和26年法律第285号)第2条第1項に規定する博物館
五 社会教育法(昭和24年法律第207号)第20条に規定する公民館
六 裁判所法(昭和22年法律第59号)第2条第1項に規定する家庭裁判所
七 少年院法(昭和23年法律第169号)第1条に規定する少年院又は同法第16条に規
定する少年鑑別所
八 更生保護法(平成19年法律第88号)第29条に規定する保護観察所
九 前各号に掲げるもののほか、特にその周辺における青少年の健全な育成を図るための良
好な環境を保全する必要がある施設として公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定は、この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所及びこの条例の施行
後に開設された暴力団事務所であってその開設後に同項各号に掲げるいずれかの施設が設置
されたことにより同項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、
適用しない。ただし、ある暴力団のものとして運営されていたこれらの暴力団事務所が、他
の暴力団のものとして開設され、又は運営された場合は、この限りでない。
(青少年に対する教育等のための措置)
第14条 県は、学校(学校教育法第1条に規定する中学校、高等学校、中等教育学校、特別支
援学校(中学部及び高等部に限る。)若しくは高等専門学校又は同法第124条に規定する
専修学校(高等課程に限る。)をいう。)において、その生徒又は学生が暴力団の排除の重
要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないようにするた
めの教育が必要に応じて行われるよう適切な措置を講ずるものとする。
2 青少年の育成に携わる者は、当該青少年が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入
せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないよう、当該青少年に対し、指導し、助言し
、その他適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 県は、前項に規定する者に対し、職員の派遣、情報の提供その他の必要な支援を行うもの
とする。
第4章 暴力団員等に対する利益の供与の禁止等
(利益の供与等の禁止)
第15条 事業者は、その行う事業の円滑な実施を図るため、暴力団員等又は暴力団員等が指定
した者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 暴力団の威力を利用する目的で、金品その他の財産上の利益の供与(以下単に「利益の
供与」という。)をすること。
二 暴力団の威力を利用したことに関し、利益の供与をすること。
2 事業者は、前項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の活動又は運営に協力
する目的で、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、相当の対償のない利益の供与
をしてはならない。
3 事業者は、前2項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等
が指定した者に対し、情を知って、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資すること
となる利益の供与をしてはならない。ただし、法令上の義務又は情を知らないでした契約に
係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
4 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等に対し、不当に優先的な取扱いをしてはなら
ない。
(暴力団の威力を利用することの禁止)
第16条 事業者は、前条第1項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の威力を利
用してはならない。
(取引の関係者の確認)
第17条 事業者は、その行う事業に係る取引が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資
することとなるものである疑いがあると認めるときは、当該取引の相手方、当該取引の媒介
をする者その他の関係者が暴力団員でないことを確認するよう努めるものとする。
第5章 暴力団員等が利益の供与を受けることの禁止等
第18条 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が第15条第1項の規定に違反す
ることとなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者が同項の規定に違反することとな
る当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。
2 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が第15条第2項の規定に違反するこ
ととなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者が同項の規定に違反することとなる当
該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。
3 暴力団員等は、情を知って、事業者から当該事業者が第15条第3項の規定に違反するこ
ととなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者が同項の規定に違反することとなる当
該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。
第6章 不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置等
(不動産の譲渡等をしようとする者等の責務)
第19条 県内に所在する不動産(以下この章において単に「不動産」という。)の譲渡又は貸
付け(地上権の設定を含む。以下この章において「譲渡等」という。)をしようとする者は
、当該譲渡等に係る契約の締結の前に、当該契約の相手方に対し、当該不動産を暴力団事務
所の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。
2 何人も、自己が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとな
ることを知って、当該譲渡等に係る契約をしてはならない。
3 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約において、次に掲げる旨のす
べてを定めるよう努めなければならない。
一 当該契約の相手方は、当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならない旨
二 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、当該譲渡等をし
た者は、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることがで
きる旨
4 前項第2号に規定する場合においては、当該譲渡等をした者は、速やかに当該契約を解除
し、又は当該不動産の買戻しをするよう努めなければならない。
(不動産の譲渡等の代理等をする者の責務)
第20条 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し、前
条の規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。
2 何人も、他人が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとな
ることを知って、当該譲渡等に係る契約の代理又は媒介をしてはならない。
第7章 義務違反者に対する措置等
(調査)
第21条 公安委員会は、第15条第2項、第18条第2項、第19条第2項又は前条第2項の
規定に違反する行為をした疑いがあると認められる者その他の関係者に対し、公安委員会規
則で定めるところにより、その違反の事実を明らかにするために必要な限度において、説明
又は資料の提出を求めることができる。
(勧告)
第22条 公安委員会は、第15条第2項、第18条第2項、第19条第2項又は第20条第2
項の規定に違反する行為があった場合において、当該行為が暴力団の排除に支障を及ぼし、
又は及ぼすおそれがあると認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該行為
をした者に対し、必要な勧告をすることができる。
(事実の公表)
第23条 公安委員会は、第21条の規定により説明若しくは資料の提出を求められた者が正当
な理由がなく当該説明若しくは資料の提出を拒んだとき、又は前条の規定により勧告を受け
た者が正当な理由がなく当該勧告に従わなかったときは、公安委員会規則で定めるところに
より、その旨を公表することができる。
2 公安委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、公安委員会規則で定めると
ころにより、当該公表に係る者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第8章 雑則
(委任)
第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則、教育委員
会規則又は公安委員会規則で定める。
第9章 罰則
第25条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す
る。
一 第13条の規定に違反して暴力団事務所を開設し、又は運営した者
二 第15条第1項の規定に違反して利益の供与をした者
三 第18条第1項の規定に違反して利益の供与を受け、又はその指定した者に対して利益
の供与をさせた者
2 前項第2号の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができ
る。
第26条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この条にお
いて同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又
は人の業務に関し、前条第1項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又
は人に対しても、同項の罰金刑を科する。
附 則
この条例は、平成22年4月1日から施行する