熊本県暴力団排除条例

熊本県暴力団排除条例
目次
第1章 総則(第1条-第6条)
第2章 暴力団の排除に関する基本的施策(第7条-第11条)
第3章 暴力団を弱体化させるための措置
第1節 県の事務及び事業からの排除(第12条-第14条)
第2節 民間における契約からの排除(第15条-第17条)
第3節 暴力団の威力の利用の禁止等(第18条-第20条)
第4章 暴力団の悪影響から県民等を守るための措置
第1節 少年の健全な育成を図るための措置(第21条・第22条)
第2節 安全で安心なまちづくりのための措置(第23条・第24条)
第3節 県民等に対する支援(第25条-第27条)
第5章 雑則(第28条-第34条)
第6章 罰則(第35条-第41条)
附則

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、暴力団員の不当な行為が県民生活及び経済社会に多大な悪影響を及ぼしていることにかんがみ、熊本県からの暴力団の排除(以下「暴力団の排除」という。)に関し、基本理念を定め、並びに県及び県民等の責務を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する基本的施策、暴力団を弱体化させるための措置及び暴力団の悪影響から県民等を守るための措置を講ずることにより、暴力団の排除を推進し、もって県民の安全で平穏な生活の確保及び経済社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下この条及び次条において「法」という。)第2条第2号に規定する暴力団をいう。
(2) 暴力団員 法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。
(3) 暴力団員等 暴力団員及び暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。
(4) 暴力団密接関係者 事業者で次に掲げるものをいう。
ア 法人でその役員又は熊本県公安委員会規則(以下「公安委員会規則」という。)で定める使用人のうちに暴力団員のあるもの
イ 個人で公安委員会規則で定める使用人のうちに暴力団員のあるもの
ウ ア及びイに掲げる者のほか、暴力団員がその事業活動を支配する者として公安委員会規則で定めるもの
(5) 県民等 県民及び事業者をいう。
(6) 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点となっている施設又は施設の区画された部分をいう。
(基本理念)
第3条 暴力団の排除は、暴力団が県民生活及び経済社会に悪影響を及ぼす反社会的団体であることを認識した上で、県、市町村、県民等、法第32条の3第1項の規定により熊本県公安委員会(以下「公安委員会」という。)から熊本県暴力追放運動推進センターとして指定された者(第7条及び第11条において「暴力追放センター」という。)等が相互に連携し、及び協働して行われなければならない。
(県の責務)
第4条 県は、前条に規定する暴力団の排除に関する基本理念(次条第1項及び第6条第1項において「基本理念」という。)にのっとり、暴力団の排除に関する施策を総合的に推進するものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、基本理念にのっとり、暴力団の排除に自主的に、かつ、相互に連携して取り組むよう努めるものとする。
2 県民は、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 県民は、暴力団員の不当な行為による被害、暴力団の活動の実態その他の暴力団の排除に資すると認める情報を得たときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その行う事業に関して、暴力団を利することとならない事業活動及び暴力団員の不当な行為の影響を受けない事業活動を推進するよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に関して、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 事業者は、その行う事業に関して、暴力団員の不当な行為による被害、暴力団の活動の実態その他の暴力団の排除に資すると認める情報を得たときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。
第2章 暴力団の排除に関する基本的施策
(推進体制の整備)
第7条 県は、市町村、県民等、暴力追放センターその他関係者と連携して、暴力団の排除のための体制を整備するものとする。
(県民等及び県民等が組織する団体に対する支援)
第8条 県は、県民等及び県民等が組織する団体が暴力団の排除に関する活動に自主的に、かつ、相互に連携し、及び協働して取り組むことができるよう、これらのものに対し、情報の提供、助言、指導その他必要な支援を行うものとする。
(広報及び啓発)
第9条 県は、県民等が暴力団の排除について理解を深めることができるよう、暴力団の排除に関する社会的気運を醸成するための集会を開催するなど広報及び啓発を行うものとする。
(市町村への協力)
第10条 県は、市町村において暴力団の排除に関する施策が講じられるよう、情報の提供、技術的助言その他必要な協力を行うものとする。
(暴力団員の社会復帰の促進)
第11条 県は、県民等及び暴力追放センターとの連携及び協力の下に、暴力団員の暴力団からの離脱及びその者の社会復帰を促進するため、就労の支援その他必要な措置を講ずるものとする。
第3章 暴力団を弱体化させるための措置
第1節 県の事務及び事業からの排除
(県の事務及び事業における措置)
第12条 県は、その事務及び事業により暴力団を利することとならないよう必要な措置を講ずるものとする。
(公共工事における措置)
第13条 県は、県が発注する建設工事(建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項に規定する建設工事をいう。以下この条において同じ。)を請け負わせる契約(次項において「請負契約」という。)を暴力団員又は暴力団密接関係者との間で締結してはならない。
2 県と請負契約を締結した者(以下この条において「元請負人」という。)は、当該請負契約に係る建設工事の全部若しくは一部を請け負わせる契約(以下この条において「下請契約」という。)又は当該建設工事に使用する資材若しくは当該建設工事の施工に伴い必要となる物品を納入させ、若しくは当該建設工事に係る機械器具若しくは役務を提供させる契約(以下この条において「資材納入等契約」という。)を暴力団員又は暴力団密接関係者との間で締結してはならない。
3 次に掲げる者(以下この条において「下請負人」という。)は、県が発注する建設工事を施工するための下請契約を暴力団員又は暴力団密接関係者との間で締結してはならない。
(1) 元請負人と下請契約を締結した者
(2) 前号に掲げる者と下請契約を締結した者
(3) 前号に掲げる者と下請契約を締結した者
(4) 前号に掲げる者と下請契約を締結した者
(5) 前号に掲げる者と下請契約を締結した者
(6) 前号に掲げる者と下請契約を締結した者
4 次に掲げる者(次項において「資材納入等契約者」という。)は、県が発注する建設工事を施工するための資材納入等契約を暴力団員又は暴力団密接関係者との間で締結してはならない。
(1) 元請負人と資材納入等契約を締結した者
(2) 前号に掲げる者と資材納入等契約を締結した者
(3) 前号に掲げる者と資材納入等契約を締結した者
(4) 下請負人
(5) 前号に掲げる者と資材納入等契約を締結した者
(6) 前号に掲げる者と資材納入等契約を締結した者
(7) 前号に掲げる者と資材納入等契約を締結した者
5 元請負人、下請負人及び資材納入等契約者(以下この条、第14条及び第39条において「元請負人等」という。)は、前各項に規定する契約を締結しようとする場合において、自らが当該契約により建設工事を施工し、又は建設工事に使用する資材若しくは建設工事の施工に伴い必要となる物品を納入し、若しくは建設工事に係る機械器具若しくは役務を提供する義務を負うこととなるときは、当該契約の相手方に対し、自らが暴力団員及び暴力団密接関係者ではない旨を証する誓約書を提出しなければならない。ただし、当該契約の契約金額(県が発注する1件の建設工事に関し同一当事者間において締結された当該契約が2以上あるときは、その契約金額の総額)が100万円を超えない場合その他公安委員会規則で定める場合は、この限りでない。
6 県及び元請負人等は、前項の規定により提出を受けた誓約書を、当該誓約書に係る契約の締結の日から5年間保管しなければならない。
7 元請負人等は、自ら契約を締結した下請契約若しくは資材納入等契約の相手方が暴力団員若しくは暴力団密接関係者であることを知ったとき、又は自ら締結した下請契約若しくは資材納入等契約に関し暴力団員若しくは暴力団密接関係者から不当要求若しくは妨害を受けたときは、速やかに、県に報告するものとする。
8 県は、元請負人等が下請契約又は資材納入等契約の相手方が暴力団員又は暴力団密接関係者であることを知りながら第2項から第4項までの規定に違反した場合は、当該元請負人等を県が実施する入札に参加させないことができる。
第14条 県は、前条の規定の施行に必要な限度において、元請負人等に対し、その業務に関して報告又は資料の提出を求めることができる。
第2節 民間における契約からの排除
(民間の契約からの排除)
第15条 事業者は、その行う事業に関して契約を締結しようとする場合において、当該契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認めるときは、当該契約の相手方が暴力団員でないことを確認するよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に関して契約を締結しようとする場合は、契約の相手方が暴力団員であることが判明したときは催告をすることなく当該契約を解除できる旨を定めた書面により契約を締結するよう努めるものとする。
(不動産の譲渡等をしようとする者等の責務)
第16条 県内に所在する不動産(以下この条及び次条において「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下この条及び次条において「譲渡等」という。)をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約の締結の前に、当該契約の相手方に対し、当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。
2 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知りながら、当該譲渡等に係る契約を締結してはならない。
3 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該不動産の譲渡等に関して契約を締結しようとする場合に、次に掲げる事項を定めた書面により契約を締結するよう努めなければならない。
(1) 当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならないこと。
(2) 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることができること。
4 前項第2号に掲げる事項を定めた書面による契約により不動産の譲渡等をした者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、速やかに、当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをするよう努めなければならない。
(不動産の譲渡等の代理等をする者の責務)
第17条 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等に係る契約の締結をしようとする者に対し、前条の規定の遵守に関し、助言その他必要な措置を講じなければならない。
2 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知りながら、当該譲渡等に係る契約の代理又は媒介をしてはならない。
第3節 暴力団の威力の利用の禁止等
(暴力団の威力を利用することの禁止)
第18条 事業者は、その行う事業に関し、暴力団の威力を利用してはならない。
(暴力団員等に対する金品等の供与等の禁止)
第19条 事業者は、その行う事業の円滑な実施を図るため、暴力団員等又は暴力団員等が当該暴力団員等に代わって金品その他の財産上の利益(以下この条、次条及び第23条において「金品等」という。)の供与を受ける者として指定した者(以下この条及び次条において「暴力団員等指定者」という。)に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 暴力団の威力を利用する目的で金品等の供与をすること。
(2) 暴力団の威力を利用したことの対償として金品等の供与をすること。
2 事業者は、前項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の活動又は運営に協力する目的で、暴力団員等又は暴力団員等指定者に対し、相当の対償を受けることなく金品等の供与をしてはならない。
3 事業者は、前2項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなることを知りながら、暴力団員等又は暴力団員等指定者に対し、金品等の供与をしてはならない。ただし、法令上の義務その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
4 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等に対し、その者が暴力団員等であることを知りながら不当に優先的な取扱いをしてはならない。
(暴力団員等が金品等の供与を受けること等の禁止)
第20条 暴力団員等及び暴力団員等指定者は、前条第1項から第3項までの規定に違反する金品等の供与であることを知りながら、事業者から当該金品等の供与を受けてはならない。
2 暴力団員等は、前条第1項から第3項までの規定に違反する金品等の供与であることを知りながら、事業者をして、自ら指定した暴力団員等指定者に対し、当該金品等の供与をさせてはならない。
第4章 暴力団の悪影響から県民等を守るための措置
第1節 少年の健全な育成を図るための措置
(暴力団事務所の開設及び運営の禁止)
第21条 何人も、次に掲げる施設の敷地の周囲200メートルの区域内においては、暴力団事務所を開設し、又は運営してはならない。
(1) 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)及び同法第124条に規定する専修学校(高等課程を置くものに限る。)
(2) 裁判所法(昭和22年法律第59号)第2条第1項に規定する家庭裁判所
(3) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設、同法第12条第1項に規定する児童相談所及び同法第59条の2第1項に規定する施設(同項の規定による届出がされたものに限る。)
(4) 社会教育法(昭和24年法律第207号)第21条第1項に規定する公民館
(5) 図書館法(昭和25年法律第118号)第2条第1項に規定する図書館
(6) 博物館法(昭和26年法律第285号)第2条第1項に規定する博物館及び同法第31条第1項に規定する博物館に相当する施設
(7) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第30条の規定により設置された少年自然の家、青年の家及び青少年の家
(8) 独立行政法人国立青少年教育振興機構法(平成11年法律第167号)第11条第1項第1号の規定により設置された青少年交流の家
(9) 更生保護法(平成19年法律第88号)第29条に規定する保護観察所
(10) 少年院法(平成26年法律第58号)第3条に規定する少年院
(11) 少年鑑別所法(平成26年法律第59号)第3条に規定する少年鑑別所
(12) 前各号に掲げるもののほか、不特定多数の少年が来訪する施設で、特にその周辺における少年の健全な育成を図るための良好な環境を保全する必要がある施設として公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定は、この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所及びこの条例の施行後に開設された暴力団事務所であってその開設後に同項各号に掲げるいずれかの施設が設置されたこと(児童福祉法第59条の2第1項に規定する施設にあっては、同項の規定による届出がされたこと)により前項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、適用しない。ただし、ある暴力団のものとして運営されていたこれらの暴力団事務所が他の暴力団のものとして開設され、又は運営された場合は、この限りでない。
(少年に対する教育等のための措置)
第22条 県は、学校(学校教育法第1条に規定する中学校、義務教育学校(後期課程に限る。)、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(中学部及び高等部に限る。)及び高等専門学校並びに同法第124条に規定する専修学校(高等課程に限る。)に限る。)において、その生徒又は学生が暴力団の悪影響を認識し、暴力団に加入せず、かつ、暴力団員の不当な行為による被害を受けないようにするための教育が行われるよう必要な措置を講ずるものとする。
2 少年の育成に携わる者は、その少年が暴力団の悪影響を認識し、暴力団に加入せず、かつ、暴力団員の不当な行為による被害を受けないよう、助言、指導その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 県は、少年の育成に携わる者に対し、暴力団に関する知識を有する職員の派遣、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
第2節 安全で安心なまちづくりのための措置
(暴力団排除特別強化地域における特定接客業者等の義務)
第23条 県民及び県外の者が多数来訪し、かつ、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。次条第1項において「風適法」という。)第2条第1項に規定する風俗営業、同条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業、同条第7項に規定する無店舗型性風俗特殊営業(同項第1号に該当する営業に限る。)、同条第9項に規定する店舗型電話異性紹介営業、同条第11項に規定する特定遊興飲食店営業、同条第13項に規定する接客業務受託営業、同項第4号に規定する酒類提供飲食店営業その他公安委員会規則で定めるもの(以下この条及び次条において「特定接客業」という。)を営む者(以下この条及び次条第6項において「特定接客業者」という。)の営業所が集中して存在する地域であって、暴力団の活動状況並びに県民等、県民等が組織する団体及び市町村による暴力団の排除に関する取組状況に照らし、暴力団の排除の強化を図り、県民が安全で安心して暮らし、並びに県民及び県外の者が安心して来訪することができる地域環境を整備するためのまちづくり(次条第2項において「安全で安心なまちづくり」という。)を推進することが特に必要な地域として、次に掲げる区域を暴力団排除特別強化地域とする。
(1) 熊本市中央区下通一丁目及び下通二丁目の区域
(2) 熊本市中央区新市街の区域
(3) 熊本市中央区中央街の1番、2番及び4番から12番までの区域
(4) 熊本市中央区花畑町の9番から13番までの区域
(5) 熊本市中央区手取本町の2番から8番までの区域
(6) 熊本市中央区安政町の1番から3番まで及び5番から7番までの区域
(7) 前各号に掲げるもののほか、公安委員会規則で定める区域
2 特定接客業者は、暴力団排除特別強化地域における特定接客業の営業に関し、暴力団員を客に接する業務に従事させてはならない。
3 特定接客業者は、暴力団排除特別強化地域における特定接客業の営業に関し、暴力団員から、その営業所における用心棒の役務(営業を営む者の営業に係る業務を円滑に行うことができるようにするため客、従業者その他の関係者との紛争の解決又は鎮圧を行う役務をいう。以下この条において同じ。)の提供を受けてはならない。
4 特定接客業者は、暴力団排除特別強化地域における特定接客業の営業に関し、暴力団員に対し、客、従業者その他の関係者との紛争が発生した場合に用心棒の役務の提供を受けることの対償として金品等の供与をし、又はその営業を営むことの容認を受けることの対償として金品等の供与をしてはならない。
5 暴力団員は、暴力団排除特別強化地域における特定接客業の営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 客に接する業務に従事すること。
(2) 特定接客業者に対し特定接客業の営業所における用心棒の役務の提供をすること。
(3) 特定接客業者から用心棒の役務の提供をするための対償として金品等の供与を受け、又は特定接客業を営むことの容認をする対償として金品等の供与を受けること。
(標章による特定接客業の営業所への立入規制)
第24条 特定接客業(風適法第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業(同項第2号に掲げる営業に限る。)、同条第7項に規定する無店舗型性風俗特殊営業(同項第1号に掲げる営業に限る。)及び同条第13項に規定する接客業務受託営業を除く。第7項において同じ。)を営む者で、暴力団排除特別強化地域に営業所を置くものは、公安委員会に対して、公安委員会規則で定めるところにより、暴力団員が当該営業所に立ち入ることを禁止する旨を記載した公安委員会規則で定める様式の標章(以下この条において「標章」という。)の掲示を申し出ることができる。
2 公安委員会は、前項の申出があった場合において、暴力団員が当該営業所に立ち入ることを禁止することが暴力団排除特別強化地域における暴力団の排除を強化し、安全で安心なまちづくりを推進するために必要であると認めるときは、当該営業所の出入口の見やすい場所に標章を掲示するものとする。
3 暴力団員は、前項に規定する標章が掲示されている営業所に立ち入ってはならない。
4 公安委員会は、暴力団員が前項の規定に違反して標章が掲示されている営業所に立ち入っていると認めるときは、当該営業所への立入りを中止することを命じ、又は当該立入りが中止されるために必要な事項を命ずることができる。
5 公安委員会は、暴力団員が第3項の規定に違反して標章が掲示されている営業所に立ち入った場合において、当該暴力団員が更に反復して標章が掲示されている営業所に立ち入るおそれがあると認めるときは、当該暴力団員に対し、1年を超えない範囲内で期間を定めて第3項の規定に違反する立入りを防止するために必要な事項を命ずることができる。
6 第2項の規定によりその営業所に標章が掲示された特定接客業者は、公安委員会に対し、当該標章を取り除くよう申し出ることができる。この場合において、公安委員会は、当該営業所から標章を取り除くものとする。
7 公安委員会は、第2項の規定により特定接客業の営業所に標章を掲示した後、当該営業所が特定接客業の用以外の用に供されたときその他標章を掲示する必要がなくなったと認めるときは、標章を当該営業所から取り除くものとする。
8 何人も、第2項の規定により掲示された標章を損壊し、又は汚損してはならず、また、前2項の規定により公安委員会が標章を取り除く場合を除いては、これを取り除いてはならない。
第3節 県民等に対する支援
(暴力団事務所の撤去等に対する支援)
第25条 熊本県警察本部長(以下この節において「警察本部長」という。)は、暴力団事務所が設置されたことにより、又は設置されることにより生活の平穏を現に害されている者又は害されるおそれがあると認める者から、当該暴力団事務所を撤去するために、又は設置されないようにするために必要な援助を受けたい旨の申出を受けた場合において、その申出を相当であると認めるときは、当該暴力団事務所を設置している者又は設置しようとする者に対し、当該暴力団事務所を撤去するよう、又は当該暴力団事務所の設置を中止するよう書面で通告するとともに、当該暴力団事務所の撤去又は設置の中止に係る周辺住民の自主的な活動を支援するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(警察による保護)
第26条 警察本部長は、暴力団の排除に関する活動を行ったこと等により暴力団員、暴力団員から依頼された者等から危害を加えられるおそれがあると認められる者に対し、警察官に警戒をさせるなどその者の保護のために必要な措置を講ずるものとする。
(警察による援助)
第27条 警察本部長は、この条例の規定に違反する行為により困惑している者から、当該行為による被害を防止するために必要な援助を受けたい旨の申出を受けた場合において、その申出を相当であると認めるときは、当該申出者に対し、被害を自ら防止するための措置の教示その他必要な援助を行うものとする。
第5章 雑則
(調査)
第28条 公安委員会は、第16条第2項、第17条第2項、第19条第1項から第3項まで及び第20条の規定に違反する行為をしている疑いがあると認められる者その他の関係者に対し、公安委員会規則で定めるところにより、その違反の事実を明らかにするために必要な限度において、必要な資料の提出又は説明を求めることができる。
[第16条第2項] [第17条第2項] [第19条第1項] [第3項] [第20条]
(勧告)
第29条 公安委員会は、第16条第2項、第17条第2項、第19条第1項から第3項まで及び第20条の規定に違反する行為をしていると認められるときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該違反する行為をした者に対し、当該違反する行為の中止その他必要な措置を講ずるよう勧告をすることができる。
[第16条第2項] [第17条第2項] [第19条第1項] [第3項] [第20条]
2 公安委員会は、前条の規定により必要な資料の提出若しくは説明を求められた者が正当な理由がなくこれを拒んだとき、又は虚偽の資料の提出若しくは説明を行ったときは、その者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告をすることができる。
(事実の公表)
第30条 公安委員会は、前条の規定により勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わないときは、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。
(意見陳述の機会の付与)
第31条 公安委員会は、前条の規定による公表をしようとするときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該公表に係る者に対し、あらかじめ、その旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、意見を述べる機会を与えなければならない。
(意見聴取)
第32条 公安委員会は、第24条第5項の規定による命令をしようとするときは、公開による意見聴取を行わなければならない。ただし、命令に係る者がした同項に規定する立入りが行われた営業所に係る個人の秘密又は事業上の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、意見聴取を公開しないことができる。
[第24条第5項]
2 前項の意見聴取を行う場合において、公安委員会は、当該命令に係る者に対し、命令をしようとする理由並びに意見聴取の期日及び場所を相当の期間をおいて通知し、かつ、意見聴取の期日及び場所を公示しなければならない。
3 意見聴取に際しては、当該命令に係る者又はその代理人は、当該事実について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。
4 公安委員会は、当該命令に係る者又はその代理人が正当な理由がなく出頭しないとき、又は当該命令に係る者の所在が不明であるため第2項の規定による通知をすることができず、かつ、同項の規定による公示をした日から起算して30日を経過してもその者の所在が判明しないときは、第1項の規定にかかわらず、意見聴取を行わないで同項に規定する命令をすることができる。
5 前各項に定めるもののほか、第1項の意見聴取の実施について必要な事項は、公安委員会規則で定める。
(公安委員会の事務の委任)
第33条 公安委員会は、第24条第4項の規定による命令を警察署長に行わせることができる。
[第24条第4項]
(公安委員会規則への委任)
第34条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。
第6章 罰則
第35条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第21条第1項の規定に違反した者
[第21条第1項]
(2) 相手方が暴力団員であることを知りながら、第23条第2項から第4項までの規定に違反した者
[第23条第2項] [第4項]
(3) 第23条第5項の規定に違反した者
[第23条第5項]
第36条 第24条第4項又は第5項の規定による命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
[第24条第4項] [第5項]
第37条 第24条第8項の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。
[第24条第8項]
第38条 第14条の規定による報告をせず、若しくは資料を提出せず、又は同条の規定による報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者は、20万円以下の罰金に処する。
[第14条]
第39条 第13条第5項又は第6項の規定に違反した元請負人等は、5万円以下の過料に処する。
[第13条第5項] [第6項]
(自首による刑の減免)
第40条 第35条第2号の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
[第35条第2号]
(両罰規定)
第41条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第35条及び第38条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
[第35条] [第38条]
2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。ただし、第24条、第32条、第33条、第36条及び第37条の規定については、平成23年7月1日から施行する。
(準備行為)
2 第24条第1項の規定による標章の掲示の申出は、前項ただし書に規定する規定の施行の日前においても、第23条第1項及び第24条第1項の規定の例により行うことができる。
(経過措置)
3 第13条及び第14条の規定は、この条例の施行の日以後に県が発注した建設工事について適用する。
4 第15条から第17条までの規定は、この条例の施行の日以後に締結する契約について適用する。
附 則(平成24年3月6日条例第5号)
この条例は、平成24年4月1日から施行する。
附 則(平成24年10月9日条例第57号)
この条例は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第53号)の施行の日又はこの条例の公布の日のいずれか遅い日から施行する。
附 則(平成25年3月28日条例第37号)
1 この条例は、平成25年6月1日から施行する。
2 この条例の施行の際現に運営されている暴力団事務所であってこの条例の施行により改正後の第21条第1項に規定する区域内において運営されることとなったものについては、同項の規定は、適用しない。ただし、ある暴力団のものとして運営されていたこの暴力団事務所が他の暴力団のものとして開設され、又は運営された場合は、この限りでない。
附 則(平成26年3月24日条例第39号)
1 この条例は、平成26年6月1日から施行する。
2 改正後の第20条、第28条及び第29条第1項の規定は、この条例の施行の日以後に行われる行為について適用し、同日前に行われた行為については、なお従前の例による。
附 則(平成27年3月20日条例第36号)
この条例は、少年院法(平成26年法律第58号)の施行の日又はこの条例の公布の日のいずれか遅い日から施行する。
附 則(平成28年3月7日条例第28号)
1 この条例は、平成28年6月23日から施行する。ただし、第22条第1項の改正規定並びに第23条第3項及び第4項の改正規定は、平成28年4月1日から施行する。
2 この条例(前項ただし書に規定する規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附 則(令和5年3月24日条例第15号)
この条例は、令和5年4月1日から施行する。